お知らせ第135回学長記者会見

第135回学長記者会見

日時
2017-04-25
場所
大分県庁県政記者室
第135回学長記者会見

(事項1)2017年「世界禁煙デー」に合わせ市民公開講座を開催

 毎年5月31日は,世界保健機関(WHO)が「世界禁煙デー」と定めており,わが国でも厚生労働省が5月31日から6月6日を禁煙週間と定め,さまざまな取り組みが実施されます。
 大分大学では,禁煙週間期間中の6月4日に,禁煙に関する市民公開講座を開催します。

 本学では既に,全てのキャンパスにおいて平成23年度より敷地内完全禁煙化を実施し,平成24年4月の「大分大学禁煙推進宣言」の制定,平成25年10月の禁煙推進担当の学長特別補佐の配置,平成26年9月より学生及び教職員を対象とした禁煙外来を設置など,学内の無煙環境の構築に取り組んでいます。
 また,平成28年5月には,「職員の受動喫煙の防止等に関する規程」を定めています。 本年5月31日の世界禁煙デーに関連して,本学では初めて市民向けの禁煙に関する公開講座を開催します。

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(事項2)ピラゴフ名称ロシア国立研究医科大学と内視鏡分野の協力に関する合意文書に署名

 4月20日,本学とピラゴフ名称ロシア国立研究医科大学との間で,日本の最先端の内視鏡技術を伝えるための内視鏡分野における協力を強化し,また継続的に進めるために,双方で合意文書に署名がなされました。
 今回の合意では,内視鏡分野で国内トップレベルの技術を持つ本学が,厚生労働省及びロシア連邦保健省の支援の下,日本内視鏡外科学会・アジア内視鏡人材育成支援大学コンソーシアムの協力を得て内視鏡分野での技術協力を実施するもので,ピラゴフ名称ロシア国立研究医科大学内に「日露内視鏡協力トレーニングセンター」を設置するとともに,日本製の最新内視鏡を活用した日本の診断・治療技術をロシアと共有すべく,実地トレーニングを実施すること,また日露間における遠隔コンサルテーションの実施等が計画されています。
 既に,4月20・21日の2日間,北野学長を含む本学医師団5名が訪露し,現地の医師らを対象とした内視鏡外科実地トレーニングコースを開催しました。
 本学のロシアにおける内視鏡人材育成に向けた取組は,大学交流,医療協力の進展のみならず,日露経済交流推進事業としても関係省庁から大きな期待が寄せられています。
(写真:協定書を手に記念撮影を行う Sergey Lukyanov学長と北野学長)

参考(トピックス)

(事項3)医学部附属病院に精神科デイケアセンター開設

 医学部附属病院では,うつ病などの精神疾患によって休業や失業をした方が職場復帰できるように支援するための精神科デイケアセンターを5月15日に開設します。

 精神科デイケアとは,精神科リハビリテーションの一つであり,様々な集団プログラムや個人プログラムを通じて社会復帰・職場復帰を目指す活動です。
 医学部附属病院精神科では,特に復職を目的とした「リワーク(Re-work)プログラム」に力を入れており,復学や家庭内復帰を目指す方を受け入れ,その方の職種に合わせたプログラムを実施します。
 プログラムは,主に作業療法士,看護師が行いますが,認知行動療法,マインドフルネス,絵画・陶芸など専門的なプログラムは,医師,心理士,精神保健福祉士,芸術療法士が担当することもあります。
 他院に通院中の方も利用可能です。

■リワーク(Re-work)とは?
うつ病などの精神疾患によって休業や失業をした方が,職場復帰ができるように支援する取組のこと。

■復職にリワークが必要な理由
精神科の薬物療法や精神療法だけでは,うつ病が改善してもまだ復職できるレベルには至っておらず,うつ病の症状がよくなることと,働けることの間にはギャップがある。このギャップを埋めるために必要となるのがリワーク(Re-work)である。


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(事項4)大腸がんにおける内視鏡外科手術の標準化に関する多施設共同研究の成果発表
    (厚生労働科学研究費補助金に基づく研究)

 医学部消化器外科の研究グループの論文が英国医学雑誌 Lancet Gastroenterol Hepatol(ランセット オンライン版)にて公開されました。

 近年,体に優しい手術法として内視鏡外科手術が,世界的に急速に普及していますが,がん患者における長期成績は十分明らかにされていません。本学医学部消化器外科のグループは,進行大腸がん患者における腹腔鏡手術の短期および長期成績を明らかにするため,2004年より,わが国の内視鏡外科の先進的30施設とともに,厚生労働科学研究費補助金に基づく第III相試験を行いました(研究代表者:北野正剛学長,研究事務局:猪股雅史教授)。
 腹腔鏡手術の短期成績が良好であることを,既に,2013年の米国医学ジャーナルAnn Surgに報告してきました。今回,最終解析結果である長期成績が一流医学ジャーナルであるLancet Gastroeterol Hepatol(ランセット)に掲載されました。
 本研究は日本の大腸がん患者1,057例を登録した手術療法では世界最大規模の臨床研究で,腹腔鏡手術は開腹手術と比較し,出血量が少なく,初回排ガスまでの日数や在院日数が短く,在院中の合併症である創関連合併症が少なかったことがわかりました。長期成績の解析結果は,5年生存率は開腹手術90%,腹腔鏡手術92%であり,予想以上の良好な治療成績を示すことができました。
 これらの研究の成果は,わが国の進行大腸癌に対する標準治療確立に資する質の高いエビデンスとして発信され,腹腔鏡手術が大腸がんの標準治療の一つとして確立し,がん患者のQOLを向上させることが明らかになりました。さらに入院期間の短縮や早期社会復帰による医療経済全体への貢献も期待されています。本成果は大腸癌治療ガイドラインへ反映される予定です。

 この論文は英国の著名な医学雑誌であるLancet Gastroenterol Hepatol(ランセット オンライン版)で2月1日に公開されました。

掲載ページ:Lancet Gastroenteol Hepatol.2017 2(4):261-268

(事項5)クリーンエネルギー社会の実現に向けて~
    アンモニアから水素を簡単に取り出す触媒プロセスを開発
    -触媒への吸着熱を利用した新しい反応の起動方法-

 理工学部共創理工学科の永岡勝俊准教授らの研究グループの論文がアメリカ科学振興協会発行の学術雑誌Science Advances(Science姉妹紙)のオンライン版にて公開されました。

 私たちの生活に欠かせない主要なエネルギー源である石油・天然ガスなどの化石燃料は限りがあり,将来枯渇することが予想されています。これに対し,太陽光や太陽熱,水力,風力,バイオマス,地熱などのエネルギーは,一度利用しても比較的短期間に再生が可能であり,資源が枯渇しないエネルギーです。これらは,「再生可能エネルギー」ともいわれます。
石油等に代わるクリーンなエネルギーとして,政府は再生可能エネルギーの占める割合を増加させることを目指していますが,再生可能エネルギーの効率のよい利用のためにはまだたくさんの解決すべき課題があることも事実です。

 永岡准教授らの研究グループは,室温でアンモニアと酸素(空気)を触媒に供給するだけで,外部からの加熱なしに反応を繰り返し起動させ瞬時に水素を取り出すことができる触媒プロセスを開発しました。
 今回開発された技術は,再生可能エネルギーとしての水素エネルギーの利用技術の発展への貢献が期待されます。

 この論文はアメリカ科学振興協会が発行する著名な学術雑誌 Science Advances誌(Science姉妹誌)オンライン版で近日公開されました。

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その他の情報

(事項1)第35回 健脚を血管病から守る公開シンポジウム 開催

 大分市コンパルホールにおいて「第35回 健脚を血管病から守る公開シンポジウム」を開催します。
 本会は一般市民,医療・保健関係者を対象として,血管病予防・治療に関与する多方面の領域からの講演を行うことにより,大分県における血管病予防・治療への啓蒙活動を行います。

 この公開シンポジウムは,神戸大学医学部前教授の岡田昌義先生の指導のもと,全国で毎年2回開催されており,毎回約200~500名の一般市民の方の参加があり,血管病への啓蒙活動を広く行っています。
 講演者は,心臓血管外科,形成外科,放射線科医師等を予定しており,末梢動脈疾患,静脈疾患,リンパ浮腫などに対して多岐に渡る専門領域の医師達による講演,市民の方との質疑応答,公開討論を行います。
 また,展示ブースを設け,いろいろな機器や血管治療関連器具に触れたり,静脈ストッキング装着や脈波伝達速度の測定など,実際に一般市民の方に体験をしていただくコーナーも設けます。

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(事項2)自分を変える,未来が変わる 新設「理工学部」がスタートしました!

 4月1日より工学部が理工学部へと生まれ変わりました。
「理工学部」は,質の高い特色ある研究を通じて,世界に通用する科学技術を創造し,もって地域に貢献すると共に,豊かな創造性,社会性及び人間性を備えた人材を養成します。

 4月4日の入学式では,第一期生として,創生工学科238名,共創理工学科158名を迎え,「理工学部」が本格的にスタートしました。
 創生工学科(機械コース,電気電子コース,福祉メカトロニクス,建築学コース)は,理学的要素である数物系サイエンスのグローバルな視点を持ち,数物モデル化とシミュレーション技術を通して,安心かつ持続可能な社会の実現のために,付加価値の高いものづくり技術を創生すべく,新たな課題を自ら探求し,問題を整理・分析し,学際領域であるエネルギー・環境科学分野,医工学・福祉工学分野,防災・減災分野における問題に応用することにより,地域からイノベーション創生に取り組むことのできる人材を養成し,「学士(工学)」の学位を授与します。
 共創工学科(数理科学コース,知能情システムコース,自然科学コース,応用化学コース)は,科学技術イノベーションに繋がる自然物(生物・非生物)の原理・原則と客観的な観察と論理的な思考に基づく数理・自然科学を基本とし,基礎科学としての数理科学と応用技術としての情報科学との講義連携,また基礎科学としての自然科学と応用技術としての応用化学との講義連携により,新たな課題を自ら探求し,問題を整理・分析し,数理科学,自然科学,情報科学,応用化学分野における問題や地域の課題に応用できる柔軟な発想をすることができる人材を養成し,「学士(理工学)」の学位を授与します。

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(事項3)広報誌「BUNDAI.OITA」第49号発行

 本学で,広報資料として年3回発行しています大分大学広報誌「BUNDAI.OITA」の第49号が完成しました。新入学生等に向けてキャンパスライフ特集などを掲載しています。

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