お知らせ第142回学長記者会見

第142回学長記者会見

日時
2017-1225
場所
大分県庁県政記者室
第142回学長記者会見

(事項1)大分大学とアデランスと社との共同研究:「『新規αリポ酸誘導体』を用いた抗がん剤脱毛抑制」の
    最新臨床結果の発表及び「新規αリポ酸誘導体」を配合した製品の製造及び販売権にかかる契約の
    締結式を実施

 本学医学部消化器・小児外科学講座では,世界で初めて「新規αリポ酸誘導体」の抗がん剤脱毛に対する抑制効果を,ラットを用いた基礎研究にて報告しました。2013年に,本学とアデランス社は,抗がん剤治療の副作用である脱毛の予防に関して共同研究の契約を締結し,乳がん患者を対象とした臨床研究を進めてきました。
 今回の記者会見では,12月14日に,東京都のアデランスADビルにおいて,本学とアデランス社との間で共同研究を行っていた新規αリポ酸誘導体を用いた抗がん剤脱毛抑制の研究結果についての共同記者発表会を行うとともに,本学の北野学長とアデランス社津村代表取締役社長により,新規αリポ酸誘導体を配合した製品の製造及び販売権にかかる契約の締結式を実施した旨を報告しました。
 アデランス社と本学が交わした契約は,本学が保有する「がん化学療法誘発脱毛に対する抗脱毛用組成物」の用途発明の特許を,アデランス社に独占的に実施許諾を与えるライセンス契約です。この発明特許のライセンス契約を締結することにより,アデランス社は新規αリポ酸誘導体を配合したスカルプ&スキンケアを目的とする商品を製造し,販売する権利を独占的に取得することとなりました。

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(事項2)「九州・大学発ベンチャー振興会議」支援による大学発ベンチャー第1号
    「株式会社大分大学先端医学研究所」設立報告会を開催

 産学が連携を強めて地元の大学発ベンチャーを育成しようと,九州・沖縄の大学や企業 ,経済団体が今年1月に共同で設立した支援組織「九州・大学発ベンチャー振興会議」による大学発ベンチャーの第1号案件として,医学部臨床薬理学講座の上村教授らによるベンチャー企業「株式会社大分大学先端医学研究所」が設立され,設立に関する報告会を12月27日に開催しました。

■株式会社大分大学先端医学研究所
 所在地:大分県由布市
 設立:2017年10月
 代表取締役:加納裕久
 取締役COT:小路裕行
 取締役:上村尚人

【設立報告会】
 開催日時:平成29年12月27日(水)10:20~10:40
 開催場所:大分県庁第一応接室

(事項3)大分大学減災・復興デザイン教育研究センター (通称CERD:サード)の設置について

 本学の学内共同教育研究施設として,大分大学減災・復興デザイン教育研究センターを,平成30年1月1日付で設置しました。
 大分県においては,近年でも「平成24年7月九州北部豪雨」,「平成28年熊本地震」,そして本年発生した「平成29年7月九州北部豪雨」,「平成29年台風18号」などの大規模災害が発生しています。大分県でも多様な災害に対する平時からの備えなどの防災・減災対策の重要性が益々高まっており,地域における取組を総合的に支える仕組みづくりが求められています。
 本学では,本年6月に大分大学認定研究チーム(BURST:バースト)として,「減災・復興デザイン教育研究センター」(通称CERD:サード)の認定が行われました。これまで県内各地で実施してきた防災教育やリスクマネジメントに関する支援を柱として,復興デザイン(事前復興)に関する調査・研究も実施しています。CERDは本年発生した災害に関する調査・情報収集・提供を迅速に行っており,メディアでも大きく取り上げられたところです。
 大分県における地(知)の拠点として,防災・減災に関する地域貢献を果たし,またその機能強化も図っていくことが必要と考えられます。
 そこで,社会との連携・協働を図りながら,防災・減災及び復興デザインに関する調査・教育・研究を持続的に進めると同時に,それらの成果を地域社会に還元し,災害をはじめとする多様なリスクに対して強くかつしなやかな地域社会形成に向けた地域貢献・支援活動を行い,もって地域の安全・安心社会構築へ寄与することを目的とし,本学の学内共同教育研究施設として,減災・復興デザイン教育研究センターを設置することとなりました。
 本センターでは,災害等に関する調査研究,防災教育,復興デザインなどを柱とし,学内外との連携を図りながら,前述の目的を達成するために活動を展開してまいります。

★「復興デザイン(事前復興)」
平時の地域課題を把握し,災害を想定した復興のビジョン(災害後のまちづくりをどのように行っていくか)を事前に共有しておくこと。また,平時からそのような課題に取り組んでおくことをいう。
全国的にはこれまで進んでいなかったが,必要性については認識が深まっており,近年全国でもその活動の広まりが出てきている。

★「災害調査」について
ドローンの活用,動画撮影も行いながら災害発生時の迅速な災害調査・情報収集を行う。現CERDの災害調査情報はホームページやYouTubeで公開している。


詳細はこちら(CERDホームページ)

(事項4)平成30年1月以降の入試日程について

 大学入試センター試験以降の本学入試日程の詳細をお知らせします。

■大学入学者選抜大学入試センター試験
 試験日:1月13日(土)~14日(日)

■センター試験を課すAO入試(医学部医学科)
 試験日:2月 4日(日)
 合格者発表 : 2月 7日(水)10:00

■特別入試(帰国子女,私費外国人留学生,社会人)
 出願期間: 1月15日(月)~19日(金)
 試験日: 2月2日(金)
 合格者発表:2月13日(火)10:00

■一般入試(前期日程,後期日程)
 出願期間 : 1月22日(月)~1月31日(水)

個別学力検査試験日:
【前期日程】
 2月25日(日) 教育学部・経済学部・医学部看護学科・理工学部・福祉健康科学部
 2月25日(日)・26日(月) 医学部医学科
【後期日程】
 3月12日(月) 教育学部・経済学部・医学部看護学科・理工学部・福祉健康科学部

合格者発表:
【前期日程】 3月6日(火)10:00
【後期日程】 3月20日(火)10:00

平成30年度入試 募集人員一覧はこちら

(事項5)自然還元水は不安を抑制し,ラットの酸化ストレスの増大を抑制する
    -医学部精神神経医学講座の穐吉准教授らの研究論文が英国オンライン医学雑誌に掲載

 医学部精神神経医学講座の穐吉准教授らの研究グループは,世界で初めて自然還元水が不安を抑制する効果があることを確認し,英国オンライン医学雑誌” Neuropsychiatric Disease and Treatment“にて報告しました。

 水は私たちの健康と生理機能にとって非常に重要です。地球規模の環境汚染は大きな社会問題を引き起こしており,汚染された水を飲むと,深刻な病気を引き起こす可能性があります。
 日本では,水素を豊富に含む電気分解還元水や自然還元水などのいわゆる「還元水」が人間に与える影響が検討されています。
 自然または電気化学的に還元された水は,培養細胞の活性酸素を取り除くことができ,還元水は糖尿病,癌,動脈硬化症,神経変性疾患などの酸化ストレス関連疾患に対して予防的効果および治療効果を有することが報告されているなど,これまでに行われたいくつかの報告は,日本の還元水の機能的役割を示していました。
 今回,穐吉准教授らは,不安と血液生化学分析における自然還元水の役割を特定する目的で研究を開始しました。
 なお,この研究で使用された自然還元水は,収集場所で約1000mの深さから衛生的に採取されたミネラルウォーターです。

【研究の目的】
不安と血液生化学分析における自然還元水の役割を明らかにする。

【材料および方法】
自然還元水(日田天領水〔日田天領水株式会社,大分県日田市〕を使用)および蒸留水を180日間連続して2つの群に分けたラットにそれぞれ投与し,高架十字迷路,明暗箱,強制水泳および条件付き恐怖試験を用いて不安・抑うつの行動変化,血液・尿検査を行い代謝産物の測定を行った。

【結果と結論】
自然還元水は条件不安と高架式迷路試験において抗不安様作用を示した。天然還元水中の尿中8-ヒドロキシ-2'-デオキシグアノシン(8-OHdG)の平均レベルは,蒸留水群よりも有意に低かった。天然還元水群はまた蒸留水群と比較して血中尿素窒素濃度の低下を示した。
これらの結果は,自然還元水が不安関連行動を減少させ酸化ストレスの高まりを防ぐことができることを示している。
本研究の結果,自然還元水が,ミネラルウォーターの摂取と人間の健康及びミネラルウォーターの摂取による一部の生活習慣病に対する治療戦略を結びつける物質であると考えられるという結論に至った。

論文掲載ぺージはこちら(オープンアクセス)
(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28932120)

その他の情報

(事項1)「私たちが創る おおいた創生シンポジウム」を 開催!
    (平成29年度 地方創生大学等連携プロジェクト支援事業成果報告会)

「地域の未来は私たちが創る!」をテーマに,学生が地域や企業で活躍することの意義や効果を,企業・自治体の皆様方に知っていただくためのシンポジウムを開催します。
平成27年度 文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」に採択された大学等の取組を紹介するとともに,大分県と連携して行っている「地方創生大学等連携プロジェクト支援事業」の成果報告を行います。
 COC+事業に参加した学生,教職員,県内企業及び自治体関係者等が一堂に会して,活発な意見交換を行います。
 また,COC+事業を通してどのように成長できたかを学生が自分の言葉で発表します。

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(事項2)保健管理センターの加隈准教授が第55回全国大学保健管理研究集会で優秀演題受賞

 本学保健管理センター挾間健康相談室の加隈哲也准教授が11月29~30日に沖縄県で行われた第55回全国大学保健管理研究集会にて優秀演題を受賞しました。
 全国大学保健管理研究集会は,年に一度,全国の国立・公立・私立大学の保健管理に携わる医師・看護師等の関係者が一堂に会し,保健管理に関する研究結果や課題などを共有することにより,各々が研鑽を積む機会として開催されています。
 加隈准教授は,「75gブドウ糖負荷試験を用いた大分大学医学部5年生の糖代謝についての検討」の演題で報告を行い,優秀演題を受賞しました。

当該報告の概要は
1:大学生世代の糖代謝はBMIやウエスト周囲長より,ウエスト周囲長/身長が有用なマーカーになること。
2:多変量解析より,多くの糖代謝関連指数は運動習慣の有無とウエスト周囲長/身長が,また血糖とインスリンのAUCは上記に加え,性別が独立した影響因子になること。
3:女性(女子学生)は体格や生活習慣によらず,インスリン分泌が良好であることが判明した
の3点です。
 糖代謝についての成人期の報告はたくさんありますが,成人期になると,どうしても内臓脂肪が蓄積してきます。そのため,それに伴うもの,中でもアディポサイトカイン量の影響が無視できません。今回の年代は内臓脂肪の蓄積が少ない世代で,ウエスト周囲長/身長で比較すると男女差はほとんどありません。解析結果を見ると,女性は体格や生活習慣によらず,インスリン分泌が良いことがわかりました。今年度,中学3年生を対象にした論文が発表されており,やはり女子は男子よりインスリン分泌が良いことが報告されています。今回の報告はその延長線上と考えられますが,中学3年生を対象とした論文では性別以外にはBMIのみに注視しており,加隈准教授の報告では性別,年齢,飲酒歴,喫煙歴,運動習慣,朝食の欠食の有無,夜食の有無,清涼飲料水の過量摂取の有無などを含めた多要素による解析をしています。

(事項3)「エンジン01文化戦略会議オープンカレッジ in大分」大分大学旦野原キャンパスを主会場に開催

 平成30年1月26日から28日までの3日間大分市で開催される「エンジン01文化戦略会議オープンカレッジ in 大分」プログラム中の「一般講座」「中高生向けハローワーク(無料 職業講座)」「卓球大会」が,1月27日に大分大学旦野原キャンパスをメイン会場に実施されます。
 エンジン01(ゼロワン)文化戦略会議は,各分野の表現者・思考者たちが日本文化のさらなる深まりと広がりを目的に参集したボランティア集団で(2001年発足),オープンカレッジは年度に一度開催するこの会最大規模のイベントです。
「エンジン01文化戦略会議オープンカレッジ 」は,エンジン01文化戦略会議の会員のうち100名以上が,年に1度ボランティア講師として地方都市に集結し,3日間にわたって趣向を凝らした様々な講座やイベントなどを開催し,地域の人々と“知の交流”を行うものです。
 今年は大分県を会場に「ひらいた。おおいた。 ~ 歴史,ひらいた!未来,ひらこう!」をテーマに開催されます。
 今回の大分開催は「第33回国民文化祭,おおいた2018,第18回全国障害者芸術,文化祭おおいた大会」,「ラグビーワールドカップ2019日本大会」など,全国から多くの来街者が訪れるビッグイベントの大きな先駆けと位置付け,地元経済団体等と行政が一体となって運営することで,文化,芸術の振興および地域の活性化を図り,活力ある魅力的なまちづくりの実現を目指しており,本学も会場提供により運営に協力しています。
 ※大分大学では,平成23年4月1日から全てのキャンパスにおいて敷地内全面禁煙を実施しています。

開催日時:平成30年1月27日(土) 10:00~17:30
開催場所:大分大学旦野原キャンパス