お知らせ令和4年度9月学長記者会見

令和4年度9月学長記者会見

日時
2022-0902
場所
大分県庁記者会見室
令和4年度9月学長記者会見

【事項1】令和5年度 大分大学の改組

本学では、令和5年4月の「医学部先進医療科学科」の設置、「理工学部」の改組、「教育学部」の入学定員増について、それぞれ文部科学省に設置の申請等をしていたところです。このたび、8月31日に「医学部先進医療科学科」の設置を可とする審査結果が文部科学省webページに公表されるなど、所要の手続きが完了しました。

【令和5年4月1日予定の改組等】
医学部先進医療科学科の設置(入学定員35人)

・生命健康科学コース(20人)
・臨床医工学コース(15人)
理工学部 2学科8コース → 1学科9プログラムへの改組
・創生工学科、共創理工学科 → 理工学科
・ 物理学連携プログラム、地域環境科学プログラムの設置
教育学部 135人 → 150人(+15人 時限10年)
・県下の深刻な教員不足という課題に応えるもの。少子化の中、国立大学の教育学部の定員増は全国でも珍しい。

・医学部先進医療科学科の設置を可とする審査結果については、8月31日に文部科学省webページに公表されました。(※文部科学省からの正式通知受領済み)
令和5年度開設予定の大学等の設置に係る答申について(文部科学省webページ)
・理工学部の改組(理工学部理工学科の設置)については、8月8日付けで所要の手続きが完了しました。
・教育学部の入学定員増については、8月31日付けで文部科学省webページに公表されました。
令和5年度 国立大学の入学定員(予定)について(文部科学省webページ)
※この他、令和6年度に向けた改組についても現在学内で準備中です。

いずれの組織も、令和5年度からの学生受け入れに向けて丁寧な準備を進めています。
それぞれの学部等において、設置の趣旨や社会的ニーズを踏まえた人材をしっかりと養成し、社会に送り出していくことができるよう、今後とも教育内容等の充実を図り、本学の使命を果たしてまいります。

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【事項2】大分大学理工学部創立50周年記念事業の開催

大分大学理工学部は、本年度、創立50周年を迎えました。
創立50周年を契機に、これまでの50年を振り返り、さらなる発展に向け踏み出すための節目として、記念事業を開催します。

【大分大学理工学部創立50周年記念事業 記念式典・記念講演会・記念祝賀会】
開催日時:令和4年10月18日(火)

(記念式典)14:00~15:00
(記念講演会)15:30~16:30
(記念祝賀会)17:00~18:00予定
開催場所:レンブラントホテル「二豊の間」

【事項3】医学部附属病院に「低侵襲手術センター」開設

ロボット手術を始めとした最先端の低侵襲手術を安全に運営・導入するために、8月1日医学部附属病院内に低侵襲手術センターを開設しました。本センターの具体的な業務は、1.低侵襲手術に関する運営(ロボット手術の手術枠の調整、新規機器導入に関する調整など)、2.低侵襲手術の安全性検証(ロボット手術の事後検証や安全管理体制の強化)、3.低侵襲手術に関わる教育(教育セミナー開催、指導者の育成、ロボット手術の情報共有、臨床研究の推進)などです。
これらの取り組みは、超高齢社会におけるからだに優しい精度の高い手術の普及、高度な技術を要する医療人の育成、また将来的には遠隔手術指導による大分県におけるロボット手術の安全な普及に寄与すると考えられます。

本センターは、消化器外科、呼吸器外科、腎臓外科・泌尿器科、産科婦人科で行われるロボット手術全てを対象とし、センター長は消化器外科 猪股雅史教授、副センター長は腎泌尿器外科学 秦 聡孝教授が務め、構成員は手術部、看護部、ME機器センター職員が担当し、診療科や部署の垣根を超えた領域横断的な組織です。
ロボット手術は、遠隔(リモート)での操作が可能なこと、3Dハイビジョンの精緻な画像のもと手術が行えること、多関節機能を有し、狭い骨盤内でも容易に手術操作が可能なこと、また手ブレ防止機能を有すること、など多くの長所を有するため、様々な疾患・術式で保険適用となりました。今後更なる適応拡大に伴い、ロボット手術症例数は増加することが想定されます。
そのような背景から、大分大学医学部附属病院では、6月18日に2台目の手術支援ロボット「hinotori™:メディカロイド社」を導入し、8月1日付で本センターを設立しました。
また本センターは、大分大学の第四期中期目標・中期計画である、1.先端技術を用いた低侵襲治療実施割合の増加、2.高度技術を有する医療人育成セミナー開催を実現するために重要な役割を担います。

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【事項4】初の国産手術支援ロボット「hinotori™」を用いた九州第1例目の手術実施

大分大学医学部附属病院では、九州内で初めて、2022年6月に初の国産手術支援ロボット「hinotori™」を導入しました。
当院では、すでに2012年に大分県内で初めて手術支援ロボット「da Vinci®」を導入しており、今回の「hinotori™」導入により、2台体制での運用が可能となりました。
8月24日に、九州第1例目の「hinotori™」を用いたロボット支援手術を実施しました。
手術は、県内在住の70歳代男性前立腺がん患者さんに対する「ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術」で、根治療法として行われ、医学部腎泌尿器外科学講座の秦聡孝教授の執刀で、附属病院腎臓外科・泌尿器科のチームにより実施されました。手術は順調に終了し、出血は少量のみで、輸血も行われませんでした。また、手術中の合併症はなく、術後の経過も良好です。
今後は、さらに診療科・術式を拡大して、手術を行っていく予定です。

川崎重工業株式会社とシスメックス株式会社が50%ずつ出資して設立された「メディカロイド」社が開発した、初の国産の医療用手術支援ロボットです。両企業、また開発に関わった神戸大学が兵庫県内にあることから、兵庫県とゆかりの深い、手塚治虫氏の代表作「火の鳥」が名前の由来になっています。

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【事項5】小径腎細胞がんに対する凍結療法を開始

当院では2022年5月より4㎝以下の小径腎細胞がんに対する凍結療法を開始しました。
腎細胞がんは腎臓にできる代表的な腫瘍の一つです。本疾患に対する治療は手術が基本となりますが、その代替療法として近年凍結療法が開発され、2011年に保険収載(保険点数52800点)されました。
大分県では初の導入施設になります。高齢など様々な理由で手術ができなかった方に対し、新たな治療の選択肢が加わったことになります。
当院では2022年5月から7月まですでに6例の患者さんに本治療を行いました。

局所麻酔で行います。CTで画像を確認しながら1.5㎜径ほどの専用の凍結針を背中から数本腫瘍に穿刺します。
アルゴンガスを用いて針の先端を急速冷凍することで腫瘍を壊死させます。CTガイド下の手技になれている放射線科医(日本インターベンショナルラジオロジー学会専門医)が施行します。凍結範囲(氷のボール)は腫瘍のサイズに応じて、針の本数や種類を調整し決定します。径2㎝から5㎝ほどになります。
特徴として、低温麻酔効果により痛みが少ない、体表の傷が小さい、腎機能が温存できる、など低侵襲な点があげられます。
本法は脳血管障害や心機能障害、血液凝固障害などの合併症のため手術ができない(全身麻酔が不可)患者さんの多くに有用です。患者さんご自身の希望で凍結療法を選ぶことも可能です。
ただし、治療中(2-3時間程度)、動かずじっとしておくことができることが条件となります。良い適応としては、高齢、単腎、場所が腎門部・埋没型で部分切除が施行困難、腎機能低下例、多発症例(von Hippel-Lindau病など)などです。
治療成績は手術とほぼ同等で5年全生存率97.8%、5年癌特異的生存率100%と非常に良好と報告されています。合併症も6%(輸血を要する出血:1.6%)と安全性も高いとされています。

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【事項6】令和4年度「橋渡し研究プログラム(シーズF)」において本学の「感染性ぶどう膜炎に対する核酸抽出不要の多項目迅速PCR検査キットの開発」が採択 ~令和3年度に続き連続採択~

感染性ぶどう膜炎は、水ぼうそうの原因となるヘルペスウイルスなどが目の茶目の部分(虹彩や脈絡膜)に感染することで、元気な人が急に失明する怖い病気です。 他にも、九州に多いHTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)や、梅毒、寄生虫など、色々な病原体が原因になります。それぞれ治療法が異なるため、正確で素早い診断が必要ですが、通常の診察では診断が難しい場合があります。
新型コロナウイルス感染症で知られるPCR検査は、病原体が持っている遺伝子を増やして検出する方法で、わずかな量の検体からも病原体を見つけることができます。
ただ、目はとても小さい一方、調べたい病原体はたくさんあるので、通常のPCR検査では十分に検査ができませんでした。
大分大学が東京医科歯科大学、理化学研究所、株式会社島津製作所と共同開発し、特許を有する新しい眼感染症PCR診断法は、マルチプレックスPCRという技術を用いて、涙や目の中の液体(眼内液)から多数の病原体について、30分程度で誰でも簡単にPCR検査ができます。優れた検査法であることから、厚生労働省から、「先進医療」や「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入」の対象に認定されています。眼科で最も有名な雑誌の1つである「Ophthalmology」という雑誌にも掲載されています。
大分県内の開業医の先生方からも検査のために多くの紹介を頂いております。
また、県外の大学病院の求めに応じて検査方法の指導にも行っており、先進医療や外注検査として全国44都道府県に普及しています。
全国疫学調査結果にも影響し、今まで臨床診断が難しく5位に留まっていたヘルペス性ぶどう膜炎の診断数が、簡便な検査が普及したおかげで3位に急増しました。
事業費は今年度約1,500万円の予定。今後2年間で総額約4,600万円となる予定です。

大分大学の令和2年度男女共同参画推進事業<女性研究者支援>の支援を頂いたことで、研究に弾みが付きました。また、中塚医学賞(第11回、2021年)、日本眼感染症学会学術奨励賞〔三井賞〕(2021年度)、日本眼炎症学会学術奨励賞(2018年度)も受賞しています。
今回の募集では,日本医療開発研究機構(AMED)による書類審査・ヒアリング審査の厳正な審査が行われた結果,24件の応募から6件の課題が採択されています。
優れた技術も製造販売する企業と協力できなければ、患者さんに届けることができません。
シーズFは企業との連携が重要な評価ポイントで、ノーベル賞授賞者が出たことで有名な「株式会社島津製作所」とともに薬事申請を目指しています。

大分大学眼科ホームページはこちら
島津製作所ホームページはこちら

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【事項7】大分大学とブータン王立ケサル・ギャルポ医科学大学との大学間協定締結式を実施

2022年8月29日、大分大学とブータン王立ケサル・ギャルポ医科学大学との間で大学間協定締結式を行いました。
本学医学部環境・予防医学講座は、ブータンにおけるピロリ菌に関する大規模疫学調査の実施、2010年、2014年及び2015年における海外研究機関との協力による国際内視鏡検査の施行など、胃癌とピロリ菌に関する研究を手掛けてきました。また、ブータン保健省と本学との消化器感染症研究における国際共同研究体制も構築し、研究者派遣等、これまでも活発な研究交流を継続しています。
ケサル・ギャルポ医科学大学は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が共同で実施する「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」(2021年5月採択)の共同研究機関でもあり、本学医学部環境・予防医学講座山岡𠮷生教授を研究開発代表者として2022年8月に研究を開始しました。
本学とブータンの教育研究等機関との間で締結する交流協定は初めてで、交流協定を結ぶ海外の教育研究等機関は31の国・地域、100機関目の協定として2019年12月26日に締結しました。コロナ禍で延期していた協定締結式を、今回、ブータンにおいて実施しました。
また、ロティ・ツェリン (Lotay Tshering)ブータン首相を表敬訪問し、懇談しました。
(写真:左から2人目 北野大分大学長、左から3人目 ロティ・ツェリン(Lotay Tshering)ブータン首相)

<参考>ブータン王立ケサル・ギャルポ医科学大学は、ブータン王国首都ティンプーの中心に位置し、2013年に設立されたブータンにおける初の医科大学です。医学系大学院・医学部と、看護・公衆衛生学部,伝統医学部、健康科学部から構成され、協定を締結した2019年12月時点の在籍数は、教職員が約200名,学部生・大学院生が約750名です。ブータンの保健医学を支える教育・研究機関としてその中心的な役割を担っています。

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その他の情報

【事項1】大分の教育の未来をみつめるシンポジウムⅤ(ハイフレックス開催)
「AとTの呼応が世界の見方を変える」

本シンポジウムでは、STEAM教育のA(art)とT(Technology)に注目します。
前半は、大分県豊後高田市にある「不均質な自然と人の美術館」をプロデュースしたanno lab代表の藤岡定さん、楽器のハイブリット化とミクスト音楽の今後を探る作曲家の松宮圭太さん、音を通した子どもの探索行動を研究している吉永早苗さんに話題提供をしていただきます。
後半は、函館工業高等専門学校の下郡啓夫さんにコーディネートしていただき、A(art)とT(Technology)の呼応と世界の見方について議論を深めます。

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【事項2】大分県小学校プログラミングコンクール2022

テーマ「みんなのみらい」

■応募部門:コンピュータ部門・ロボット部門
■応募期間:令和4年9月1日~10月31日
■応募資格:大分県内に在住の小学生

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【事項3】公開講座「より良い未来 -減災社会- を創る」(全4回)

これからの防災・減災のあり方、減災社会の実現と社会実装に向けた取り組みや我々に求められる「姿勢」を考えます。講師:小林祐司(理工学部教授)

■開催日時:
10月8日(土)・10月15日(土)・11月5日(土)・11月12日(土)
10:00~11:30
■開催場所:J:COMホルトホール大分2階 サテライトキャンパスおおいた講義室

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【事項4】経済学部公開講座「現代社会における課題解決とイノベーション」(全5回)

私たちを取り巻く状況はめまぐるしく変化し、多くの問題が顕在化してきています。そうした課題解決の糸口を見つけるため、イノベーションをキーワードに現状を概観するとともに、企業や行政、公的機関や大学など、地域社会での活動内容や連携事例なども紹介します。

■開催日時:9月29日(木)・10月6日(木)・10月13日(木)・10月20日(木)・10月27日(木)
19:00~20:30
■開催場所:J:COMホルトホール大分2階 サテライトキャンパスおおいた講義室
(※10/27のみJ:COMホルトホール大分4階408会議室)

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【事項5】令和4年度大分大学医学部公開講座

■開催日時:
【第1回】10月4日(火)【第2回】10月12日(水)【第3回】10月18日(火)
18:30~20:30
■開催場所:J:COMホルトホール大分2階 サテライトキャンパスおおいた講義室

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【事項6】「豊の国学」リレー講座

様々な角度から「豊の国(大分県)」を見ていただくため、豊の国の「人」「文化」「産業」「自然」についてのリレー講座(1コマ90 分)を行います。

■開催日時:
【第1回】10月1日(土)12:50~14:40
【第2回】10月16日(日)10:20~16:25
■開催場所:J:COMホルトホール大分2階 サテライトキャンパスおおいた講義室

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【事項7】令和4年度 後学期 大分大学公開授業のご案内

大分大学公開授業では、社会人を対象に大分大学の学生が受講する大学の正規の授業を開放します。
※今学期は、ほとんどの授業が大分大学キャンパスでの対面授業となります。(一部オンライン授業あり)

■開設期間:令和4年10月3日(月)~ 令和5年2月7日(火)
■対象者:一般市民
■申込締切:令和4年9月19日(月)

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