本学工学研究科応用化学コース1年の前田沙弥さん（檜垣研究室所属）が、第32回日本MRS年次大会で奨励賞を受賞しました。

• 発表題目：糖鎖結合性／双性イオンブロック共重合体の水性環境における会合挙動
• 発表日時：2022年12月7日
• 著者：前田沙弥、清水茜、檜垣勇次

　上皮細胞表面は高度に糖鎖付加された糖タンパク質であるムチンからなる粘膜層で被覆されており、高親水性流体である粘膜層は多くの病原性細菌やウイルスに対する生体免疫の最前線として機能しています。ムチンの分泌量や構造に異常が生じた場合、粘膜免疫システムに影響を及ぼして感染症の原因となるため、粘膜層の状態を整えることで生体防御システムの増強が見込まれます。本研究では、糖鎖に特異的に結合するフェニルボロン酸骨格を導入した糖鎖結合性高分子と、優れた生体適合性を示す双性イオン高分子で構成される新規ブロック共重合体を合成し、その水性環境における分子集合体形成機構を研究しました。合成したブロック共重合体が緩衝溶液中で溶液のpHやグルコースとの結合に応じて粒子状分子集合体を形成し、双性イオンとの相互作用によって酸解離定数（pKa）が変調される現象を見出しました。糖鎖と相互作用して粘膜表面を改質する新たな分子システムの開発につながる基礎となる研究成果です。
　本研究は、JSPS科研費　基盤研究B 「水性ミクロ相分離二相系高分子集積体の創成」 JP 22H02147、新学術領域研究（研究領域提案型）水圏機能材料：環境に調和・応答するマテリアル構築学の創成 「選択的水和による水圏メゾスコピック秩序構造」 JP22H04555、大分大学学長戦略経費「重点領域研究推進プロジェクト」の助成を受けたものです。（受賞対象発表件数：45件、受賞者数：4名）


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