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概要

BUNDAI .OITA No48

■1■2■3■4留学をしようと思ったきっかけは?大学では、工学部の知能情報システム工学科に在籍し、IoTやVR、ARの研究をしています。その傍ら「B T G大分」という学生団体に参加しているのですが、活動の一環として、竹田市菅生のトウモロコシ農家で農業体験をしたときのこと。「すごあまこーん」という糖度の高いスイートコーンの種を蒔き、収穫して販売するところまでお手伝いさせていただいたのですが、いざ売ってみるとお客さんは1本3 0 0円という価格が「高い」と言うのです。炎天下の中で種を植えることに始まる生産過程を知ると3 0 0円でも「安い」くらいなのですが、消費者の立場からすると「高い」という感覚も理解できます。この価値観の差を、自分が学んでいる情報工学の技術で埋められないかと考えました。そのヒントを得るために、最先端の研究が行われているアメリカのシリコンバレーに行ってみたいと思うようになりました。トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムに応募したのはどうしてですか?2つ理由があります。ひとつは奨学金がもらえること。もうひとつは大分のことを深く知れることです。トビタテ!留学JAPANのプログラムにはいくつかのコースがあり、僕は地域事業である「大分県地域グローバル人材育成・定着事業」に興味を持ちました。熊本県出身の僕にとって、大分のことをもっと知りたいという思いもあったからです。支援してくださる大分の企業の方々や大分県の担当の方々など色々な方と出会い、みなさんから本当に親身になって支援していただきました。応募に当たっては、自分のプロフィールや留学計画をまとめなければなりませんでした。トビタテ!留学J A P A Nでは、決まったプログラムを与えられるのではなく、留学先、期間、内容まですべてを自分で計画するんです。僕は人脈を頼って留学先を紹介してもらいましたが、なかには行きたい企業に自ら直接アポイントを取ったという仲間もいました。どんな留学計画を立てたのでしょう?期間は28日以上24カ月以内で自由に定めることができ、僕は大学が夏休みの間の1カ月間、2015年8月に行ってきました。最初は、カリフォルニア大学デービス校のエクステンションに参加。コミュニケーション力を養いました。次に、シリコンバレー日本大学(S V J U)でインターンシップを経験。S V J Uは、シリコンバレーで活躍する日本人を増やそうという目的で2015年9月にスタートした機構で、僕が参加させていただいたのはその準備段階でした。支援してくださる起業家や講師の方々に「SVJUに何を求めますか?」「どういうことで貢献してくれますか?」ということをインタビューをしてまわりました。最後の1週間は、S V J Uのショートタームプログラムを体験。座学形式でエンジニアや起業家のリアルな経験を聞ける内容で、とても興味深かったです。印象に残っていることを教えてください。渡米前からもう刺激的だったんです。トビタテ!留学JAPANが主催する事前研修があり、それは、企業が導入している研修制度を用いて自分の留学計画をブラッシュアップしていくものでした。パネルディスカッションではヤング・グローバル・リーダーと呼ばれる若手ビジネスリーダーの方々の経験談を聞くことができ、モチベーションがあがりました。また、自分の留学計画についてみんなの前でプレゼンテーションを行い、それに対して意見をもらうことで、自分では気付けなかった視点で物事を見ることができました。さらに、教材を使って自分の「軸」、つまり「ここだけは譲れない」というものを浮き彫りにするグループワークもあったんです。この「軸」をはっきりさせる作業が、とても重要でした。というのも、留学中どこへ行ってもはっきりと意見を主張できる人に会う中で、それに怯まず、自分が「違う」と思うことに対して考えを曲げずにいられたのは「軸」がブレなかったからだと思うんです。とはいえ行く前後で変化もあったのでは?留学する前は、シリコンバレーに行けば待っていても情報が向こうからやってくると思っていましたが、それは間違いでした。シリコンバレーの人々は、積極的にイベントに参加したり、コワーキングスペースをつくったり、貪欲に情報収集を行い活動するからこそ最前線にいられるのです。インターンシップ先で、それを「p r o a c t i v e」と言うのだと教わりました。帰国後も「トビタテ!」の活動をしているそうですね。奨学金がもらえること、そして大分のことを知れることがトビタテ!に参加するメリットだと思っていましたが、本当のメリットは帰国後にありました。この制度を利用して留学した同窓生の集まりがあるのですが、それはさまざまな専門分野を志す人々のコミュニティであり、意見やアイデアを交換することで化学変化が起き、何かが生まれる可能性を秘めているのです。実際、参加してみると多様な価値観に触れることができ、人脈も広がってとても刺激を受けています。また、トビタテ!留学J A P A Nを経験した人は、帰国後、エバンジェリスト(伝道師)となりトビタテ!の普及に貢献しています。高校生に向けて経験談を話したり、「トビタテカフェ」という相談の場を設けたり。それが主な活動です。今後やってみたいことは?僕はエバンジェリストとして、独自に大分大学の国際教育研究センターの先生方や国際交流課の職員さん、また企業の方々にも協力してもらい、「ミニトビタテ!inベトナム」を企画しました。海外経験のない学生が、外の世界を知るチャンスをつくりたくて、「自分にできることはないか」と考えた結果、僕がリーダーとなって海外研修を実施したんです。9人の学生とともにベトナムに行ってきました。今度はカンボジアでの研修も予定しています。そもそも、日本人留学生は2004年をピークに減少の一途をたどっていて、2020年までに12万人まで増やそうというのがトビタテ!留学JAPANの趣旨です。僕の周りにも、留学にまったく興味がない人、英語が嫌いという人がたくさんいますし、首都圏の学生に比べて、九州地方の学生は「外に出る」ということ自体にハードルを感じています。そのハードルを低くしていく活動をしていきたいです。最後に、留学をしたいと思っている人々にアドバイスをお願いします!留学は、大きな冒険かもしれません。迷っている人もいると思います。けれど、内に秘めた思いは口に出さないと周囲に伝播せず動き出さないので、結果、「はじめの1歩」を踏み出すことができません。迷っているなら誰かに相談したり、夢を語ったりしてみてください。そういうところから始まる気がします。1歩は自分で踏み出すべき。なぜなら、壁にぶつかったとしても「自分で決めたこと」と貫けると思うんです。僕もそうやって1歩を踏み出して、今も、エバンジェリストとして留学は続いていますし、常に「p r o a c t i v e」な姿勢でいたいと思っています。■7■1■2■3帰国後「成果報告会」の様子。プレゼンテーションでは見事優良賞を受賞!■4シリコンバレー日本大学のショートタームプログラム参加者たちと■5留学中はどこへ行くにも自転車で移動が基本だった。名門スタンフォード大学にも行って興奮■6企画した「ミニトビタテ!」でベトナムの日本語学校を訪問したとき、生徒たちと一緒に■7ベトナム研修の参加者全員と■5■6トビタテ!留学JAPAN▲http://www.tobitate.mext.go.jpシリコンバレー日本大学(SVJU)http://www.svju.org▲20