お知らせトピックス2014-069

第7回大分県高大連携シンポジウムを開催しました

 2月17日,「第7回大分県高大連携シンポジウム」が本学経済学部棟101号教室で開催されました。前回のテーマ「高校・大学のキャリア教育は社会とつながっているか」を受けて,今回は,「高校・大学の接続と主体的な学び」をテーマに,学びの高校から大学への円滑な接続について主体的な学びを可能にするためにはどのような方策があるかを考えることを目的として開催されました。
 折しも「生きる力」「確かな学力」を確実に育成するために教育再生実行会議の第四次提言(2013.10.31)「高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方について」を受けて,高等学校教育の質の確保・向上,高等学校基礎学力テスト(仮称)・大学入学希望者学力評価テスト(仮称)・アドミッションポリシーに基づく多元的評価を重視した個別選抜の確立,大学教育の質的転換の断行を求める中教審答申(2014.12.22)が出されました。高等学校・大学においては基礎的知識・技能,思考力・判断力・表現力,主体性を持って協働する態度を醸成させるための円滑な高大接続が求められています。
 このような高大接続が注目を浴びる今日,本学が実践してきました『「ナナメの関係」をテコにして「学びは高きに流れる」体制を築く高大接続教育』(冊子2015.2)を中心に据え,シンポジウムは進められました。当日は,180名(本学教職員・高校教員・教育行政担当者・他大学教職員・学生・一般・など)が一堂に会し,日本学術振興会理事長,中央教育審議会会長の安西祐一郞氏に『高大接続(高校教育・大学入学者選抜・大学教育)について -未来に生きる少年少女のために-』と題して講演をしていただきました。安西氏は,「これからの時代に適応するために,主体的に生きる,多様な人々と生きる,協力して生きる,感謝して生きる,誇りにして生きることを可能にする教育の機会を保証する。」「十分な知識・技能を持ち,それを活用できる思考力・判断力・表現力を臨機応変に発揮でき,主体性を持って多様な人々と協働し,学ぶことのできる力をすべての青少年に保証しなければならない。」と指摘し,「教育改革は待ったなしの時期に来ている。」と訴えられました。その後,「大分大学における高大接続と主体的な学び」について本学理事(教育担当)・副学長の古城和敬が報告し,続いて「高校生の確かな学力の育成に向けた本県の取組」について大分県教育庁高校教育課長の髙畑一郎氏が報告されました。
 最後に,意見交換が行われパネリストとして,安西祐一郞氏,髙畑一郎氏,古城和敬,末本哲雄(本学高等教育開発センター講師),佐藤裕哲(本学経済学部特任教授)が登壇し,コーディネーターは宮町良広(本学副学長・学術拠点長,経済学部教授)が務めました。その中で,高大接続改革プランによる「大学教育改革」「高校教育改革」「大学入学者選抜改革」による3つテーマを中心に,確かな学力(A 知識・技能,B 思考力・判断力・表現力,C 主体性,多様性,協働)の養成は意識されているか,「主体性」を身につけさせる授業が行われているかなどについて,意見が交わされました。知識・技能を基礎に,思考力・判断力・表現力をつけるためには自分の変化に気づく達成感をどのように会得させるか,主体的な取組が可能になるような環境をどのように作るか,大学入学者選抜の中で思考力・判断力・表現力をどのように具体的に可視化できるようにするかなどが,大きな課題であるという見解が出されました。
 会場の参加者から,「変化の激しい教育界にあって,なくてはならない取組だと再認識させられた」「主体的な学びができる学生を育むには大人の強い決意が必要である」「高校現場の取組も聞きたかった」「教育への意識改革が最大の課題である」「企業や社会全体との接続を考える方法はないか」など多くの質問や意見が出されました。参加者アンケートでは,「総合的に判断してよかった」が87.5%で,参加者はそれぞれの立場で“高大接続”や“主体的取組”について考える機会になりました。

シンポジウムの様子
シンポジウムの様子
講演をする安西祐一郞氏
講演をする安西祐一郞氏
意見交換の様子
意見交換の様子