大学概要平成30年度 卒業式・学位記授与式 告辞

学長メッセージ

平成30年度 卒業式・学位記授与式 告辞

晴れて本日,卒業式を迎えられた皆さん,おめでとうございます。
また,これまで長い間,学生生活を支えて来られた御家族の皆様方のお喜びは,いかばかりかと拝察し,心よりお祝い申し上げます。

この度,1,104名の学部卒業生,200名の大学院修了生の皆さんを送り出すに当たり,大分大学を代表して一言お祝いの御挨拶を申し上げます。

まずは,入学以来のたゆまぬ努力が実って,この素晴らしい門出の日を迎えました。卒業生・修了生の皆さんが今日の日を迎えるに当たっては,経済的に支えてこられた保護者の方はもちろんのこと,先輩や友人,長い学生生活の中で助言・指導いただいた指導教員や職員など,多くの方々の支援があったと思います。このことを,いつまでも忘れないでください。

また本日は,11名の留学生の皆さんも,卒業,並びに修了されます。留学生の皆さんは遠く祖国を離れ,ここ大分の地で勉学に励み,留学の目的を達成しました。言葉や習慣などが大きく異なる環境の中での生活には,御苦労が多かったかもしれません。これまでの努力に対して敬意を表するとともに,祖国へ戻ってからも,この自然豊かな大分の地で学んだことを誇りに,活躍していただきたいと思います。

今日から皆さんは,これまで以上に社会の構成員としてより深く社会に関わり,あるいは学問を深め,地域社会に,さらにはグローバルに貢献するよう期待されています。その期待に応えるためにも,これまで学んだことを生かして,常に,今自分がしているこのことが社会に役立っているのだとの意識をもって積極的に行動し,それぞれの道を着実に歩んでほしいと願っています。そして,この式典に参加しているこの瞬間に感謝するとともに,人生の中で忘れることのできない大変貴重な思い出として残していただきたいと思います。

本学は,今後とも,社会から高く評価され,社会に貢献できる人材を輩出することに邁進してまいりますが,卒業生の皆さんの更なるキャリアアップのために,卒業・修了された後でも,更なる進路選択や再就職に必要な支援を継続して行っていくことを目的に,学生支援部キャリア支援課に「再チャレンジ支援室」を設置しています。この支援室には,再就職のためのキャリア・カウンセリング,求人情報の提供や企業への紹介,進学等の進路相談など,皆さんの再チャレンジを総合的に支援しています。気兼ねなく利用して,これからも卒業生として本学と関わりながら,自分を伸ばしていただきたいと切に願っています。

また,本学の学部・大学院にはいずれも同窓会があります。同窓会は,卒業生の皆さんと母校をつなぐ,大変重要な役割を果たしています。ぜひ同窓会に加わっていただき,各種の催しに参加し,母校の情報を得ていただきたいと思います。皆さんが学んだ大分大学を単に懐かしむだけでなく,皆さんの仕事の上でも大いに活用してほしいと思います。皆さんが相談すれば,指導教員も,喜んで相談に乗ってくれます。このようにして,卒業生の皆さんと母校の連携をますます強めていくことを願っています。また,各学部等同窓会のほかに,6つの同窓会を会員とする連合組織の「大分大学同窓会連合会」もあります。本学は同窓会と共催で,同窓生の皆さんとの交流会を開催しています。皆さんもぜひ参加してください。

本日の卒業・修了をもって大分の地を離れる人もいるかと思いますが,本学を始めとした大分県の関係機関は,大分県を活性化させるために,さまざまな事業に取り組んでいます。いつの日か機会があれば,大分に戻って大分の地で活躍していただきたいと願っています。

さて,4日前,大きく報道があったように,日米野球で偉業を成し遂げたイチロー選手が引退しました。その引退会見をみて,数年前,歴代のマーリンズ所属選手と20年近く接してきた米地元紙「マイアミ・ヘラルド」のベテラン記者クラーク・スペンサー記者の言葉を思い出しました。「彼は本当にすごいプロフェッショナルなんだ。例えばビデオ判定が試合中に行われるとしよう。2塁ランナーは一度アウトと宣告されても,味方がチャレンジすれば選手はそのまま2塁に立っている。なぜなら,走者はセーフだと分かっていて,判定が覆ることが分かっているからだ。誰もダグアウトに戻らずビデオ判定の間,2塁で待つんだ。私は2度,イチローが2塁でチャレンジの結果,判定が覆ったシーンを見た。塁審からアウトと宣告されたけれど,彼はセーフと分かっている。でも首を振ったり,判定に異議を見せるような素振りは見せない。頷いてダグアウトに戻る。理由は審判への敬意を示すためだった。彼はそう言っていたよ。」そして,審判に対する敬意を決して忘れないイチローに,心を打たれたと言います。一度下された判定は静かに受け入れ,一旦ダグアウトに戻り,判定が覆れば,2塁に戻る。そんな所作に限らず,イチローは打席に立った後,決してバットを投げ捨てない,試合後には2時間かけてグローブやスパイクを手入れする。作ってくれた人への敬意からです。先の記者は「そういう小さな所作の積み重ねがすごいんだよ。イチローは」と述べていました。

最後にそのイチロー選手の言葉を贈ります。
「特別なことをするために特別なことをするのではない。特別なことをするために普段どおりの当たり前のことをする」 

皆さんの今後の活躍を祈って,私の告示とします。

   平成31年3月25日


国立大学法人大分大学長 北野 正剛