令和5年度 卒業式・学位記授与式 告辞

学長メッセージ

令和5年度 卒業式・学位記授与式 告辞

本日、卒業式・学位記授与式を迎えられた1,003名の学部卒業生、189名の大学院修了生及び学位取得者の皆さん、誠におめでとうございます。
また、この日まで皆さんの成長を支え見守って来られたご家族や関係者の皆様に心からお祝い申し上げます。

ここにいる多くの皆さんが入学した令和2年度(2020年度)は、新型コロナウイルスの影響により、本学の長い歴史の中で、唯一、入学式を行いませんでした。その年度に入学された皆さんが、本日、卒業を迎えました。皆さんは、入学してからも新型コロナウイルスの影響により、授業やサークル活動等において、様々な制限等があったと思いますが、皆さんのたゆまぬ努力により立派に乗り越え、本日、この素晴らしい門出の日を迎えました。非常に感慨深いものがあるのではないでしょうか。十分に今日の喜びを味わってほしいと思います。

また、本日は、10名の留学生の皆さんも卒業、修了されます。留学生の皆さんは遠く祖国を離れ、ここ大分の地で勉学に励み、留学の目的を果たしました。言葉や習慣などが大きく異なる環境の中での勉強や生活には、さぞや苦労が多かったと思います。これまでの努力に対して敬意を表するとともに、祖国へ戻ってからも、この自然豊かな大分の地で学んだことを誇りに、活躍してもらいたいと思います。

まずは、皆さんが今日の日を迎えるまでには、経済的に支えてこられた保護者の方はもちろんのこと、先輩や友人、長い学生生活の中で助言・指導いただいた指導教員や職員など、多くの方々の支援があったと思います。このことをいつまでも忘れないでください。

今日から皆さんは、社会人として今まで以上に深く社会に関わり、また、地域社会に、さらにはグローバルに貢献し、社会を発展させる役割を担うことになります。あるいは大学院で学問を究めるという自己実現を目指していくことになります。そのことを強く自覚し、これからの人生を立派に歩んでいってほしいと思います。

さて、これから皆さんが輝かしい未来に向かって羽ばたいていくにあたり、皆さんに伝えたいことが三つあります。

一つ目は、様々なことに全力で挑戦してほしいということです。

私は、医師として駆け出し時代から現在に至るまで、与えられた境遇に関わらず、日々創意工夫を凝らし、常に全力で物事に当たることを信条とし、「すぐやる。必ずやる。できるまでやる。」を実行してきました。その結果、現在の自分があると思っています。
挑戦には失敗がつきものです。痛みを伴わない人生なんてありません。何度でも問題や困難に全力で立ち向かい、克服してこそ、私たちは成長するのです。物事によっては、成し遂げるまでは不可能に見えることがあります。だからといって、何もやらなかったら、何も生まれません。やった後悔より、やらなかった後悔の方がはるかに大きいのです。
先日、国内初の民間ロケットの打ち上げが失敗したニュースがありましたが、打ち上げを行った会社関係者は「失敗という言葉は使わない。ひとつひとつの試みの中に新しいデータや経験があり、それが全て今後の新しい挑戦へ向けての糧だと考えている。諦めるつもりは全くない。可能な限り早く次の打ち上げに向けて対応したい。」とのコメントをしていました。
皆さんが、これから様々なことに挑戦し、大きく成長することを期待しています。

二つ目は、常に健康を保ってほしいということです。

私は、長年、外科医として歩んできましたが、健康は全ての活動の源であり、人生で一番大切にしなければならないものと強く実感しています。大分県では、県民が健康を育む生活を送ることで幸福を感じ、生涯にわたり活力ある生活を送ることができる社会を目指し、健康寿命日本一の実現を目標に掲げ、平成28年に「健康寿命日本一おおいた創造会議」を発足しました。私は、発足時から会長を務めており、現在、大分県の健康寿命は、男性が1位、女性が4位となっています。男女共に健康寿命日本一を目指して、今後も様々な取組を行っていきます。
また、本学では、禁煙と受動喫煙の防止を勧めるため、全国に先駆け、平成23年4月から全キャンパスを敷地内全面禁煙とし、無煙環境・健康増進担当の学長特命補佐を設置するなど、積極的に無煙環境の構築を推進してきました。その結果、学生、教職員の禁煙意識は高まり、令和5年度の学生の喫煙率は平成25年度比で、旦野原キャンパスでは7.0%から3.8%、挾間キャンパスでは、3.2%から1.2%と大きく改善しています。
自分の健康は自分でつくり、自分で守るものです。若い今のうちから健康保持に取り組むことが大切です。健康には食事、睡眠、運動など日々の生活習慣が大きな影響を与えます。今まで以上に心身の健康を保つことを心がけて、元気に過ごしてほしいと思います。

三つ目は、「出会い」を大切にしてほしいということです。

私は、今までの人生の中で、良い指導者、先輩、同僚、後輩と出会うことができ、その方々と共に医学の道を歩んでこられたことに心から感謝しています。皆さんも今までいろんな人との出会いがあったと思います。また、これからも様々な人との出会いがあると思います。 今までの出会い、そして、これからの出会いを大切にしてください。

最後に私が大切に思っている言葉を紹介します。人生の交差点という言葉です。簡単な英語です。
The new encounter is the intersection of life. It gives us many possibilities for the way that we walk. Sometimes our lives may change drastically with a simple encounter. It may be attractive because there is no prediction on the future. That’s why the encounter is wonderful. I,m truly glad that I could meet you. Thank you for wonderful encounter.
念のため、日本語で、新しい出会いは人生の交差点です。それは私たちの歩む道に多くの可能性を与えてくれます。何気ない出会いで人生が大きく変わることもあります。未来が予測できないからこそ魅力的なのかもしれません。だからこそ出会いは素晴らしい。あなたに出会えて本当に良かった。素敵な出会いをありがとう。

大分大学は、今飛び立とうとしている皆さんをこれからもずっと応援します。 皆さんが素晴らしい未来を手にすることを祈念して、告辞とします。


 令和6年3月24日

大分大学長 北野 正剛