学生生活学生生活実態調査結果

平成27年度 学生生活実態調査結果の概要の公表にあたって


大分大学理事(教育担当)・副学長
越智 義道

 大分大学では,学生の日常生活やキャンパス内の施設,カリキュラムなどに対する満足度を把握し,大学としての修学指導や福利厚生に関する課題や改善方策を検討するための基礎資料とすることを目的として,1983(昭和58)年以降「学生生活実態調査」を実施してきました。本報告書は,その12回目にあたり,2015(平成27)年に実施された調査の概要をまとめたものです。
 以下の調査結果の概要は,『学生生活実態調査報告書2015年度(平成27年度版)』第8章 学生生活実態調査結果の注目点に若干の修正を加えたものです。
 なお,学生生活実態調査結果を受けて,全学レベルあるいは部局レベルで必要な対応を講じるべく,作業を進めています。

平成27年度 学生生活実態調査結果の概要

1. 調査方法

 2015年度に調査票の項目について検討・決定し,2015年12月後半から2016年1月前半にかけて,各学部・大学院の学務係,医学部学務課総務係,教育支援課教育企画Gを通じて調査票を委託した。調査は,教員の協力を得て,講義中に学生に配布・実施し,主にその場で回収した。回収枚数は2,807枚で,前回調査時(2012年度:回収枚数2,047枚)より大幅に回収枚数が増えている。

2.学生生活実態調査結果の概要

1)全体的な満足度は継続的に高まっている
 学生生活に対する総合的評価と考えることができる「大学生活の満足度」(質問70)は,今回の調査では,肯定的評価が73.3%(「満足」21.4%,「やや満足」51.9%)であった。前回調査(2012年度)では,同じ項目の肯定的評価が68.0%(「満足」17.9%,「やや満足」50.1%)となっており,大学生活の満足度は上昇していると言える。
 自由記述欄については,「教育・授業に関すること」および「施設・設備に関すること」が多く記載されており,他にも学内全域無線LANやプリンタの増設,グループワーク可能な教室や時間の充実など学生支援に対する要望も見受けられる。また,カルト対策や18歳選挙権に関する意見も少数の記述があった。
 総合的な満足度は継続的に上昇しているため,学生生活の快適性・利便性をより高める施設の改善を継続的に行うとともに,社会状況に対応した学生支援も即応していくことが,学生の満足度を高めるための大学側の視点として重要であると思われる。

2)家庭からの給付は少なくなっており,アルバイトが増加
 「学生の経済状態の感じ方」(質問20)を見ると,余裕がないと感じている学生は20.1%(「やや苦しい」16.0%,「苦しい」4.1%)で前回調査(2012年度)の19.4%(「やや苦しい」15.4%,「苦しい」4.0%)とあまり変化はない。質問12の「平均的な月の生活費(収入合計)」では,各収入額別の割合は前回とほとんど変わっていない。
 収入の内訳を見ると,「家庭からの給付額」(質問8)が1万円未満の給付額の割合は,全学平均で前回が32.7%(「給付0円が25.2%,1万円未満が7.5%),今回は33.4%(給付0円が25.2%,1万円未満が8.2%)である。給付額が5万円未満の割合で比較すると,前回が69.1%,今回が72.7%であり,家庭からの給付額は前回より少なくなっている。一方,「アルバイトや定職による収入」(質問10)があると回答した割合が前回調査と比べて増加しており,「最近1年間のアルバイト経験」(質問25)がある学生は82.8%となっており,およそ8割の学生が何らかのアルバイトをしている状況である。
 前回調査では,学生の収入が家庭からの給付に依存している割合が増加しているとの報告であったが,今回調査では,家庭からの給付が減少し,アルバイトに頼っているという傾向となっている。アルバイトに収入を依存する学生の割合が増加している状況は,社会状況の変化も一因として考えられるが,学業に与える影響も大きいため,注視する必要がある。

3)ローンや借金の減少傾向は継続
 質問21で「ローンや借金がない」と回答した学生は,今回は92.9%であり,前回調査93.2%とほぼ同程度で,これまでの傾向が継続していることが確認された。とくに,学生寮や国際交流会館に入居している学生は,「ローンや借金がない」と答えた割合が97.3%と高くなっている。

4)週平均のアルバイト時間は増加したが,授業への影響は少ない
 週平均で10時間以上のアルバイトをしている割合(質問27)を比較すると,前回調査は59.0%,今回は62.3%と若干増加している。従事する仕事の種類(質問26)は,「ウェイター・ウェイト レス等接客業」42.3%,「販売・店員」35.2%,「家庭教師・塾の講師」25.6%が多く,アルバイト の目的(質問28)では,「生活費」60.2%,「課外活動・レジャー・旅行費用など」44.2%の回答が多なっており,その割合は前回調査とほぼ同様である。また,20%以上欠席した授業の有無と理由(質問31)では,アルバイトを理由に挙げた学生の割合は2.3%であり,ほとんどの学生は授業への影響の無い範囲でアルバイトをしているものと考えられる。

5)授業への出席率は上昇している
 前回調査では,授業への出席率低下が継続していることが指摘された。全学平均で授業出席率が「80%以上」と回答した学生は(質問30),2009年度調査が80.9%,2012年度調査が81.0%で,今回は85.3%であり,若干増加している。「90%以上」出席した学生の割合は,2009年度調査が60.7%,2012年度調査が62.1%で,今回が67.9%であり,学生の授業への出席率は増加している傾向がある。
 授業を20%以上欠席した理由(質問31)については,前回までと同じく「朝寝坊」が16.6%ともっとも高く,以下は「講義がつまらない」5.7%,「ただなんとなく」4.0%,「病気・怪我」3.9%,「勉強する意欲がわかない」3.8%と続く。
 入学年度別に比較すると,H26年度(2年次)学生の出席率が低くなっているため,2年次学生への生活指導等の対策を講じれば,さらに学生の全体的な出席率は向上するものと思われる。

6)施設設備への満足度は
 施設に関する満足度(質問39~42)については,肯定的な回答をした学生の割合は,講義棟(冷暖房)では70.0%(「満足」34.6%,「やや満足」35.4%),講義棟(建物)では62.6%(「満足」29.8%,「やや満足」32.8%),図書館74.5%(「満足」41.1%,「やや満足」33.4%),食堂・売店・コンビニエンスストア46.8%(「満足」19.0%,「やや満足」27.8%)であった。前回調査では,講義棟(冷暖房)が60.6%,講義棟(建物)63.6%,図書館68.8%,食堂等は50.3%が肯定的評価であったため,やや上昇している。学術情報拠点(図書館・医学図書館)の利用頻度(質問35)は,前回より増加傾向にあり,旦野原キャンパスの新図書館が有効に使用されているものと考えられるが,医学部では「ほとんど利用しない」の割合が多くなっている点が気になるところである。
 今後も,学生交流会館「B-Forêt」のオープンや施設の改修は継続して実施されるため,満足度は継続的に上昇していくであろう。

7)不満がもたれている施設は
 講義棟や図書館の満足度はやや増加しているものの,保健管理センター,体育施設,サークル施設については,肯定的評価および否定的評価のどちらの割合も前回より減少し,「どちらともいえない」と回答した学生の割合が大幅に増加している。とくに前回までの調査で不満が多かった駐車場に対する満足度(質問48)では,今回は否定的評価が35.3%(「やや不満」16.8%,「不満」18.5%)であり,前回の47.5%(「やや不満」20.6%,「不満」26.9%)より10%以上減少し,「どちらともいえない」が38.2%と10%上昇している。学生の主な通学方法(質問38)を見ると,バイクあるいは自動車で通学している学生の割合は,旦野原が28.3%,挟間が53.7%であり,前回調査(旦野原32.3%,挟間59.3%)より減少していることが関係しているかもしれない。
 自由記述には,施設の老朽化,清掃,利便性・快適性に対する意見は多く記載されており,継続的にこれらの指摘の改善に努めることが望まれる。

8)ハラスメントはなくなっていない
 学内・学外でのセクシャル・ハラスメントの被害の経験の有無に関する質問53では,「被害をうけたことがない」が95.4%で,前回の93.0%とほぼ同様であった。しかし,5%程度の学生が何らかの被害にあっていることは看過できない。重大な事件に発展することを防ぐため,被害学生と教職員の情報共有などの方策を講じていく必要があると考えられる。
 アカデミック・ハラスメントについては,90.0%の学生が「被害を受けたことはない」と回答している。しかし,「性別で指導や対応に不公平」を感じている学生が4.1%,「単位の取得を認められない」と回答した学生が2.0%であり,1割程度の学生が何らかの不満を持っていることには留意する必要がある。
 アルコール・ハラスメントに関しては,「被害をうけたことはない」と回答した学生が90.3%であり,前回より改善している。しかし,「飲酒の強要」や「一気飲みや早飲みの強要」が被害理由の上位であり,学生の飲酒マナー指導を継続していくことが重要である。
 以上のように,ハラスメントの被害については,全体的に漸減傾向にあると考えられる。

9)スマートフォンの使用は
 今回の調査では,学生のスマートフォンの使用状況に関する項目(質問58,59)を新たに追加した。ほとんどの学生がスマートフォンを携帯しており(96.3%),一日2時間以上使用すると回答した学生は58.1%である。スマートフォンの使用時間と授業以外での学習・研究時間をクロス集計した結果では,一日の学習時間が1時間以上と回答した学生は,スマートフォンの使用時間が30分~1時間未満の割合が最も多かった。同様に,スマートフォンの使用時間と睡眠時間をクロス集計した結果では,一日に6時間以上睡眠すると答えた学生は,スマートフォンの使用時間が30分~1時間未満の割合が多かった。スマートフォンの使用を自制している学生は,学習面・生活面においても自律していることが窺える。

10)身体的・精神的健康状態は比較的良好,経済状態との関連も
 身体的な健康状態(質問60)については,「非常に良好」あるいは「良好」と答えた学生が66.7%であり,前回調査とほぼ同じ状況である。また,メンタル面の健康状態(質問61)については,「非常に良好」あるいは「良好」と答えた学生が60.5%であり,身体的に良好と答えた学生よりも低い割合であった。全体的には,およそ6割の学生は身体的あるいは精神的にも良好で状態であると考えることができる。経済状態別に比較した結果を見ると,経済状態が「苦しい」「やや苦しい」と答えた学生は,身体的・精神的健康状態に不安を抱えている割合が多いことには,学生指導上,考慮する必要がある。

11)主な悩みは学業や就職・進路。誰にも相談しない学生も
 現在の悩みに関しては(質問65),「進路や就職」53.2%,「学業」35.6%,「生活費や学費など経済的問題」19.1%が主な悩みで,前回とほぼ同様の割合である。悩みへの対処法は(質問66),「友人・先輩に相談する」67.1%,「家族に相談する」45.1%,「誰にも相談しない」22.4%で,これも前回とほぼ同様であった。学内のチューターや教職員,保健管理センター,ぴあROOMなど,大学での相談体制を利用すると回答した学生の割合は5.9%で,前回の7.2%より減少している。
 学生にとって学業や進路の悩みは切実なものであるため,「誰にも相談しない」という学生のケアを考えていかなくてはならないであろう。

12)キャリア相談室の更なる周知が必要
 2015年度は就職活動のスケジュールが大きく変更され,本学においても学生の就職支援については柔軟・迅速に対応できるよう体制を構築してきている。しかしながら,学生・キャリア支援課実施のガイダンスの参加経験(質問67)については「ある」が30.1%,相談室の利用(質問68)については「ある」が13.7%に留まっている。「知らなかったので利用したことが無い」と回答した学生は全体で33.1%であり,学部間でもその差は大きい。前回の38.7%より微減しているものの,本学のキャリア支援活動が,学生に対して十分に周知されているとは言い難い。
 就職を希望する地域に対する回答(質問69)では,「大分県内」29.7%,「大分県以外の九州」26.1%で,九州内を志望する学生が55.8%も存在することは,地域に対する本学の役割を考える上で重要であろう。

2017年6月7日