世界初!アルミニウムを含む三重らせん型色素からの円偏光発光を実現 ~セキュリティ材料やバイオイメージング技術への応用に期待~

世界初!アルミニウムを含む三重らせん型色素からの円偏光発光を実現 ~セキュリティ材料やバイオイメージング技術への応用に期待~

 本学理工学部の原田拓典准教授は、九州大学大学院工学研究院の小野利和助教、久枝良雄教授、石濱航平大学院生らの研究グループの下、北里大学の長谷川真士講師、兵庫県立大学の阿部正明教授らとの共同研究により、安価で豊富なアルミニウムを含む三重らせん型色素を世界で初めて開発し、紫外光照射下で多様な発光色を示す円偏光発光材料の創製に成功しました。円偏光発光とは、左回転もしくは右回転の偏りを持つ光のことであり、セキュリティ分野などの次世代光情報技術への応用が期待されています。従来の円偏光発光材料は、多くの段階で煩雑な有機合成を必要とすること、高価なキラル分子や希少金属(レアメタル・レアアース)を必要とすることが問題点でした。

 本研究の三重らせん型色素は、単純なピロール誘導体、ヒドラジン、塩化アルミニウム等の市販試薬からわずか2回の工程で合成可能であり、優れた熱耐久性と高い蛍光量子収率を示します。らせん構造を持つDNAや蛋白質を高選択的に染色する可能性も秘めており、新たなバイオイメージング技術への応用が期待されます。

 本研究成果は、2020年10月16日(金)にドイツの国際学術誌 「Angewandte Chemie International Edition」にオンライン掲載されました。

本研究は、科研費新学術領域“ソフトクリスタル (領域代表 加藤昌子)”、“配位アシンメトリ(領域代表 塩谷光彦)”、若手研究A、挑戦的研究(萌芽)、豊田理研スカラー事業、および九州大学QRプログラムの支援のもとで行われたものです。


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