学生生活学生生活実態調査結果

学生生活実態調査結果の概要の公表にあたって


大分大学副学長(学生・留学生支援担当)
古賀 精治

大分大学では、学生の日常生活やキャンパス内の施設、カリキュラムなどに対する満足度を把握し、大学としての修学指導や福利厚生に関する課題や改善方策を検討するための基礎資料とすることを目的として、1983(昭和58)年以降「学生生活実態調査」を実施してきました。本報告書は、その15回目にあたり、2024年(令和6年)に実施された調査の概要をまとめたものです。
以下の調査結果の概要は、『学生生活実態調査報告書2024年度(令和6年度版)』第9章 学生生活実態調査結果の注目点を掲載したものです。
なお、学生生活実態調査結果を受けて、全学レベルあるいは部局レベルで必要な対応を講じるべく、作業を進めています。

2024年度(令和6年度) 学生生活実態調査結果の概要

 1. 調査方法

2024年度は調査票の項目について検討・決定した後、2024年12月下旬から 2025年2月下旬にかけて、Googleフォームを利用したWeb調査として実施した。回答者数は1,546名で、回答率は 29.2%であり、前回調査(回答率56.1%)と比較すると低い回答率となった。


 2.学生生活実態調査結果の概要

1)全体的な満足度について
学生生活に対する総合的評価と考えることができる大学生活の満足度は、今回の調査では、大学全体での肯定的評価が86.8%(「満足」32.0%、「やや満足」54.8%)で あり、医学系研究科(修士課程)を除く各学部・研究科において8割以上であった。肯定的 評価は、前々回調査(2018年度)では75.4%(「満足」24.1%、「やや満足」51.3%)であり、前回調査(2021年度)では75.9%(「満足」22.7%、「やや満足」53.2%)であり、いずれの学部も7割以上であった。今回の調査では約11ポイントの上昇が見られるが、回収率が前回よりも約27ポイントも大きく減少したため、否定的な評価をする学生の意見が反映されていない可能性があると考えられる。
自由記述欄については、前回と同様に、「教育・授業に関すること」および「施設・設備 に関すること」が多く記載され、特に、トイレについての改善要望が多くあった。調査項目以外にも各学部の事情に関連した要望があり、それらは各学部にフィードバックされて改善への対応が行われている。
前回の調査よりも総合的な満足度が高い結果であったが、回収率低下の側面があると謙虚に受け止め、学生の満足度を今後一層上昇させていく必要がある。そのためには、学生の声に耳を傾け、教育内容・方法の改善に努めるとともに、学生生活の快適性・利便性を高める施設の改善、変化の激しい社会経済状況に対応した学生支援を臨機応変に行っていくことが重要であると考えられる。

2)学生の経済状態、家庭からの給付とアルバイトの関係について
今回の調査では、家庭からの給付が3万円以上ある学生は全体の55.4%で、前回より1.9 ポイント減少した。アルバイト収入が1万円以上ある学生は約8割を占め、特に3~7万円 程度の収入層が多く見られる。家庭からの給付額が少ない学生ほどアルバイト収入に依存する傾向が強く、経済的負担を補うために働く割合が高いことが明らかとなった。特に寮生や下宿生では、収入が限られる一方で生活費の確保のためにアルバイトを行う必要性が高い状況にある。
大学としては、経済的支援や奨学金制度のさらなる拡充に加え、学業とアルバイトの両立が可能な環境整備やキャリア支援を通じて、学生の安定した学修生活を支援する方針である。

3)教育・勉学費について
今回の調査によると、教育・勉学費(授業料を除く)について、月に5千円以上支出している学生は約半数となった。特に、下宿や学生寮に住む学生の約45~55%が5千円以上を 教育・勉学費に充てており、学習環境を整えるために一定の負担を強いられている実態を確認できる。
一方、自宅生は36.5%とやや低い傾向にあり、家庭からの支援や環境の影響が考えられる。大学は今後、経済的格差に起因する学習機会の不平等を是正するため、支援制度や学習支援環境の整備を進めていく方針である。

4)ローンや借金について
今回の調査では、学生の9割以上が「ローンや借金はない」と回答しており、全体としては安定した状況が確認される。 しかし、約2.3%の学生が50万円以上の借金を抱えており、その理由としては「物品の購入・サービスの利用」「学費や勉学費」「生活費の不足」などが挙げられる。
また、特に自宅生では4.6%が借金をしており、全体よりも高い傾向にある。 大学は、学生が安心して学業に専念できるよう、経済相談窓口の充実や借金問題への啓発活動など支援を強化する。

5)アルバイトについて
今回の調査では、アルバイトをしている学生は全体の84.6%と、前回調査より増加した。 特に学部生は増加が顕著で、アルバイトの種類では「販売・店員」が最多であり、前回調査よりさらに増加している。
一方、大学院生では「家庭教師・塾講師」の割合が高く、学部生とは異なる傾向が見られる。なお、アルバイト時間は10時間以上が64.5%で、学生の多くが学業とアルバイトを両立させながら生活している。 大学は、過度なアルバイトの負担を避け、学業優先の環境を整える支援を行う。

6)授業への出席率について
授業への出席率は、前回調査と比較して、良好な出席状況を示す「90~100%」 の数値において、経済学部以外、減少傾向にある。特に、医学部においては16.9%、大学院 においても15.2%と、著しく減少している。各学部・大学院において改善傾向にあるとは言い難い。
授業を20%以上欠席した理由については、前回調査においては、特徴的な傾向(理由)として、「朝寝坊」、「講義がつまらない」等が、全学部・大学院で減少傾向を見 せた一方で、「勉強する意欲がわかない」の数値が、医学部を除いてわずかながら上昇していたが、今回の調査では、「朝寝坊」についで「病気・ケガ」、「勉強する意欲がわかない」 のパーセンテージが上昇している。 前回の調査期間中は、オンライン授業が主流であったにもかかわらず、学生の授業への出席状況は概ね良好であったが、今回の調査結果からは、授業への出席率の低下が顕著となった。

7)授業以外の学習時間について
授業以外の学習時間が「ほとんどない」と回答した学生は、医学部以外は減少傾向にある。
その一方、授業以外で学習・研究に費やす時間が「3時間以上」と回答した学生についても、前回と比べて、全学部・大学院で減少している。

8)施設設備への満足度について
講義棟、図書館、食堂など大学の施設設備に対する満足度は概ね高い結果となった。特に講義棟の建物や図書館、食堂については、前回調査と比較して肯定的評価が増加している。
保健施設に関しては、満足度がちょうど半分の50%であったが、調査の度に満足度が少しずつ減少する結果になった。これらの問題の改善の要望は自由記述の中にも多くあった。
全体としては施設環境の改善が進んでいる一方で、老朽化した施設や不十分な設備の整備が課題となっている。
今後、大学は学生が快適に学修・生活できる環境づくりに引き続き取り組む。

9)建物・施設等の清掃・整備について
今回の調査で新たに加わった質問項目である「建物・施設等の清掃・整備」については、 講義棟、トイレ、図書館、食堂、売店、コンビニ、保健施設では全体的に「きれい」「十分 きれい」との評価が多く、特に図書館では8割以上の学生が高く評価している。ただし、トイレに関しては、自由記述の中で清掃・整備が行き届いていない箇所が指摘をされた。屋外の景観については、6割弱が高い評価であった。
一方で、体育施設やサークル施設では「汚れている」「ひどく汚れている」と感じる学生が約2~3割存在し、改善が求められている。
特に医学部では講義棟や屋外景観に対する満足度が低く、また、自由記述の中にも改善の要望が多くあり、挾間キャンパスの環境整備が課題である。
今後、大学は清掃体制の見直しや施設整備の充実を進めていく。

10)不満がもたれている施設について
不満が多く寄せられた施設として、体育施設、サークル施設、夜間の街灯、駐車場などが挙げられた。ただし、挾間キャンパスの駐車場に関しては駐車場の増設により前回調査時から大幅に改善した。
特に体育施設とサークル施設については、「汚れている」「使いにくい」といった評価が多く、改善の要望が強い状況である。 また、夜間の街灯に関しても、十分な明るさが確保されていないとの意見が目立ち、防犯面や安全面で不安を感じている学生が一定数存在する。
駐車場についても、混雑や使い勝手の悪さを示す評価があった。自由記述にも、施設の老朽化、清掃、利便性・快適性に関する意見が多く記載されており 、これらの指摘を踏まえて、継続的に改善に努めていく。

11)学内・学外のグループ活動への加入状況について
「学内外のいかなるグループ活動にも加入していない」と答えた学生が全体のほぼ半数となり、前回調査より約7ポイント増加した。特に全学部でグループ活動への加入率が低下しており、サークルやボランティア活動など課外活動への参加意欲の低下が懸念される。 背景には、学業やアルバイトの忙しさ、対面活動の機会の減少などがあると考えられる。
今後、大学は課外活動の魅力を発信し、参加しやすい環境整備を進め、学生の多様な活動参加を促す取り組みを強化していく。

12)いじめ・ハラスメントについて
いじめやハラスメントの被害経験について、「被害を受けたことがない」と回答した学生 が 98%以上を占め、前回調査と同様に高い割合を維持していることから、被害経験は少ないと言える。
しかし、ごく少数ではあるものの、学内外でいじめやセクシャル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメントの被害を受けたとの回答も確認されており、特に一部の学部でわずかながら増加が見られた。
大学は引き続き、相談窓口の周知や防止教育の強化を行い、学生が安心して学べる環境づくりに努めていく。

13)スマートフォンの使用について
スマートフォンを1日に3時間以上使用している学生が全体の63.0%を占め、前回より5ポイント増加した。
一方で、2 時間未満の使用にとどめている学生も約15%おり、使用時間には大きな個人差があることがわかる。また、スマートフォン使用に伴うトラブルについては、57%の学生が「何らかのトラブルを経験した」と回答し、「睡眠時間の減少」や「学習時間の減少」が主な問題として挙げられた。
大学は、適切な利用を促す啓発や相談体制の強化に努めていく。

14)健康状態について
今回の調査では、全体の約7割の学生が自らの健康状態を「非常に良好」または「良好」 と評価しており、概ね健康的な生活を送っていることがわかった。
一方で、3割近い学生が「時々体がだるい」や「慢性的な疾患がある」など、何らかの身体的不調を抱えている。学部別にみると、教育学部で最も健康状態が良好で、福祉健康科学部や大学院では不調を訴える割合がやや高い傾向がある。
大学は、健康相談体制の整備や支援プログラムの充実を通じて、学生の健康維持を支えていく。

15)悩みについて
今回の調査では、悩みを抱えている学生が多く、特に「学業・進路」に関する悩みが最も 多く挙げられた。また、「人間関係」や「経済的な問題」、「健康・メンタル面」など、多岐 にわたる悩みが報告されている。悩みを相談する相手としては、友人や家族が多い一方で、 教職員や専門相談機関に相談していない学生も一定数存在している。
大学は、学生が気軽に相談できる環境づくりや、カウンセリング体制の拡充を進め、学生が安心して学べる支援体制の強化に努めていく。

16)オンライン(メディア授業)について
2024 年度調査では、オンライン授業の経験率は92.8%で、2021年度(99.1%)よりやや減少した。これはコロナ禍の収束により、対面授業が再開されたことを反映している。
良かった点としては、「自分のペースで学修できた」(45.1%)、「自分の選んだ場所で授業 を受けられた」(41.7%)が多く、2021年度と比べて順位が逆転した。オンデマンド型授業の普及により、学習スタイルの自由度を重視する傾向が強まったと考えられる。
一方、悪かった点では、「理解しにくい」(21.9%)、「相互のやりとりの機会が少ない」 (18.5%)、「課題が多い」(17.5%)など、内容やコミュニケーションに関する課題が上位 を占めた。「通信環境の不備」や「身体的疲労」も一部で見られた。満足度は「満足」「ある 程度満足」を合わせて77.6%となり、2021年度より9.1ポイント上昇した。学生の受容が進み、授業改善の効果も一定程度見られた。ただし、福祉健康科学研究科では「満足」が 12.5%にとどまり、満足度のばらつきがみられた。
今後は、柔軟性や利便性を活かしつつ、理解促進や相互交流を高める工夫が求められる。 加えて、学部・研究科ごとの実情に応じた対応も重要である。

17)キャリア相談室について
ガイダンスの参加経験があると回答した学部学生は、経済学部29.6%、理工 学部6.1%、福祉健康科学部13.6%、教育学部2.6%であった。医学部は1.0%と低いが、医学部ではキャリア支援課(現・キャリア支援室)の存在を知らない学生が多いことが一因と思われる。キャリア相談室の利用経験があると回答した学部学生は、経済学部 18.2%、福祉健康科学部14.8%、理工学部11.8%、教育学部5.7%であった。医学部と医学系研究科では、キャリア相談室の存在を知らない学生が多いが、他の学部、研究科では、知っていたが利用したことがない学生が多く、全学にキャリア相談室の役割を周知するとともに、医学部独自の試みが必要と考えられる。
卒業後に就職を希望する地域については、大分県内が25.9%、大分県以外の 九州が 22.8%でこれに次ぐ。ほかの地域は少ないが、その中で比較的多いのは関東地方 10.6%、関西地方5.7%である。


2026年2月

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