「大分大学ビジョン2015」用語集

「大分大学ビジョン2015」用語集

1) シェアードガバナンス

 大学においては,教学を中心として一般の教員は大学運営の意思決定に大きく関わっており,伝統的な共同統治(shared governance)が行われてきた。学長によるリーダーシップの強化が求められるなかにおいても,組織が分散型であることから,新たな形態の適切な分岐型意思決定体制の構築が必要となっている。

2)コミットメント

 関わり合い,委託,委任などに訳されることが多い。本学がステークホルダーや社会 にコミットメント(commitment)をなすということは,実行の責任を有した約束・公約と 考えられる。

3)ダイバーシティ

 ダイバーシティ(diversity)とは人間の多様性を受け入れる社会のことで,性別,障がい,価値観,年齢などの多様性を就業機会のみならず,社会がその多様性を受入れていくための対応が求められる。

4)人間の多様性を包容する教育(インクルーシブ)

 「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system,署名時仮訳:包容する教育制度)とは,人間の多様性の尊重等の強化,障がい者が精神的及び身体的な能力 等を可能な最大限度まで発達させ,自由な社会に効果的に参加することを可能とすると の目的の下,障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ仕組みであり,障がいのある 者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと, 自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること,個人に必要な「 合理的配慮」が提供される等が必要とされている。

5)キャリアパス

 キャリア教育は,中央教育審議会(平成23年)において,「一人一人の社会的・職業的 自立に向け,必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して,キャリア発達を促す教育」と定義されている。キャリアパスは,キャリア教育を通じて,仕事の経験やスキルを積みながら自らの能力を高くしていくための順序を系統立て,将来の目的や仕事の向上,キャリアアッププランを具体化,明確化するものである。

6)ユニバーサルデザイン

 ユニバーサルデザイン(Universal Design)とは,文化・言語・国籍の違い,年齢・ 性別といった差異,障がい・能力の如何を問わずに利用することができる施設・製品・ 情報の設計(デザイン)をいう。

7)ステークホルダー

 ステークホルダー(stakeholder)とは,企業・行政・NPO等の利害と行動に直接・間 接的な利害関係を有する者を指す。日本語では利害関係者と訳すことが多い。

8)ワーク・ライフ・バランス

 ワーク・ライフ・バランス(work-life balance)とは,「仕事と生活の調和」と訳され,「国民一人ひとりがやりがいや充実感を持ちながら働き,仕事上の責任を果たすとともに,家庭や地域生活などにおいても,子育て期,中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる」とされている。

9)持続可能な社会に対応したキャンパス(サステイナブル・キャンパス)

 国際連合が設置した「環境と開発に関する世界委員会(通称:ブルントラント委員会)」で1987年12月に「持続可能な開発」の概念が提唱されて以来,「環境と開発に関するリオ・デ・ジャネイロ宣言」(1992年6月)や「持続発展教育の10年」(2002年12月)等の重要なイニシアティブが持続的な地球環境保全の重要性を指摘してきた。こうした流れを受け,大学においても持続可能な社会の実現に対しての責務が問われ,2008 年に開催された G8 大学サミットにおいて「札幌サステイナビリティ宣言」が採択された。そこでは「大学は,持続可能な社会実現のための原動力になる」という決意が示され,教育と研究を通じて持続可能な社会づくりに貢献すると同時に,自らのキャンパスを実験場として,低環境負荷社会のモデルとなる必要があることが謳われている。
 Human development (人間発達)を促す場としての大学の役割が重要視され,特に,持続 可能な社会の担い手育成には,地域との協働を含む社会的学習が不可欠であり,従来の 大学キャンパスもそのための場として変化していく必要性が認識されている。