大学概要令和6年度入学式告辞

学長メッセージ

令和6年度入学式 学長告辞

新入生の皆さん、入学、おめでとうございます。
また、ご家族や関係者の皆様に、心からお祝い申し上げます。

本年は、1,173名の学部学生、213名の大学院生、計1,386名を新しく大分大学の一員として迎えることができました。教職員一同大変うれしく思うと同時に、新型コロナ感染症がようやく落ち着いた今、以前と同様、皆さんにしっかりした教育や研究の機会を提供しますので、勉学だけでなく新たな大学生活を満喫して欲しいと願っています。

大分大学は、現在、5つの学部と5つの研究科を擁する総合大学で、約5,400名の学生が旦野原キャンパス及び挾間キャンパスで学んでいます。
私は、平成23年の学長就任以来、「改革なければ明日はない」という強い決意のもと、国立大学としての使命を果たすべく、平成28年度の福祉健康科学部の設置を始め、今日まで様々な改革を行い皆さんが学びたいことが学べる大学へと変えてきました。

近年の改革としては、令和5年度に、理工学部において、多様化、複雑化する社会的ニーズに対応すべく、「理学」と「工学」の強い連携・協働のもとに教育研究を推進するため、2学科8コースから1学科9プログラムへ改組しました。
また、医学部において、「先進医療科学科」を設置し、医学と理工学、生命科学、医療マネジメント、それぞれの領域を超えた幅広い知識や技術及び研究力を兼ね備えた臨床検査技師や臨床工学技士などの育成を開始しました。本日、第2期生として入学する皆さんは、第1期生の先輩方と一緒に新たな学科の礎を築いてほしいと思います。

令和6年度には、理工学部及び大学院工学研究科に「DX人材育成プログラム」を新設し、本格的にDX人材養成を開始しました。本日、第1期生が入学します。新たな歴史を築いてほしいと思います。
さらに、経済学部において、経済社会のサステナビリティに対応するため、4学科から1学科6コースへ改組しました。
加えて、教育学部及び福祉健康科学部においても、教育力向上のためのカリキュラム改革などを行っており、これからも大分大学は、不断の改革を行い、地方創生の中核拠点としての発展はもとより、皆さんが学びたいものを学べる大学として進化していきます。

皆さんは、今、入学の喜びと共に、これからの人生に対する夢や希望に胸を膨らませていることと思います。大学は、専門的な知識を学ぶことはもちろん、様々な経験を通して社会人として生き抜く能力を身に付け、自分自身の価値を向上させていく場です。大分大学では、皆さんに日々の学びだけでなく、友人や教員との出会いや様々な交流を通して、地域や社会から求められる付加価値、つまり、「人間力」を養ってもらいたいと思っています。この「人間力」は、様々な意味で使われますが、大学において培われる「人間力」は、基礎的な学力に裏打ちされた高い専門知識と、それを活かすための柔軟な思考力と創造性、さらに、幅広い教養や人間性、国際的に活躍できるグローバルな視野などであると考えています。
しかし、これまでとは全く異なる学びの世界に、最初は戸惑うこともあるかもしれません。大分大学では、学習面だけでなく、生活面も含めて専門スタッフが皆さんの相談を受ける体制を整えていますので、不安なことや分からないことがあったら、何でも相談してください。全力でサポートします。

ここで、長年医学を学んだ医師として、皆さんに是非強く認識してほしいことがあります。それは、心身の健康を保つということです。健康は全ての活動の源です。人生で一番大切にしなければならないものと強く実感しています。

皆さんが健康を保つために、とても大切な日々の生活習慣に深く関わりがある「体内時計」について紹介します。
私たちの身体は、24時間のリズムで変化しています。睡眠や日常の活動など目に見える変化だけでなく、夕方になると体温が上がり、睡眠中には成長ホルモンが多く分泌されます。また尿の生成が多くなり免疫系の活動も高いと言われています。朝が近づくと次第に血圧と心拍数が上がり始め昼間の活動に備えます。このような概日(がいじつ)リズム(サーカディアンリズム)を形成するための24時間周期のリズム信号を発振する機構が「体内時計」で、脳内の視床下部に存在します。
この「体内時計」と生活のリズムがうまく同期しなくなると、がんやアルツハイマー病などの神経変性疾患、メタボリック症候群、つまり肥満、糖尿病、動脈硬化、高血圧、脳梗塞などのリスクが高まるとみられています。
なにより、若いころから規則正しい生活を続ければより健康になることが分かっています。皆さんの中には、これまで、受験勉強などで不規則な生活が長く続いた方もいることでしょう。乱れた「体内時計」を直すと病気も治り予防もできます。具体的には、早寝早起き、そして暴飲暴食を避けバランスの良い食事と適度な運動に務めるというごくシンプルなことです。これらを継続することで、一生にわたり健康に過ごせ、人生において様々なパフォーマンスができるのです。是非、実行してほしいと思います。

また、大分大学は全国に先駆け、平成23年4月から全キャンパスを敷地内全面禁煙とし、学内の無煙環境の構築を積極的に推進し、ここ10年で教職員、学生の喫煙率は大幅に低下しています。喫煙は、本人だけでなく、まわりの人にも深刻な健康被害をもたらすことが明らかです。例え先輩等から勧められても決して手を出さないようにしてください。

大学は「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を発展させる」ことを目的としています。
高校までの学習は、教科書に沿った授業で先生の話を聞きながら学び、問題の解き方を教わる受動的な学びが中心ですが、大学では、自分自身で問題を定義し、教授や学生と一緒に授業などを通じて議論し、答えを追究していく能動的な学びが主体となります。早く大学の学習に慣れてほしいと思います。
相対性理論を唱え、1921年にノーベル賞を受賞したアルベルト・アインシュタインは、「重要なのは、疑問を持ち続けること。知的好奇心は、それ自体に存在意義があるものだ。」という言葉を残しています。
大学生活は長いようで短いものです。大学での時間は皆さんの人生にとって大変貴重な時間です。無為に時を過ごすのではなく、常に何かに興味を抱くべく、アンテナを大きく張り、すなわち知的好奇心を大いに持ち、自ら探求する姿勢を持ち続けてください。

また、大学では、勉強のほか、友人や教員との語らい、サークル活動、アルバイト、ボランティア、インターンシップなど、大学生だからこそできることが多くあります。積極的にいろんなことを経験し、大学生活の中でしか手に入れることができない人生の宝物を見つけてください。

最後に、先日、3月24日に卒業式・学位記授与式を行いました。1,003名の学部卒業生及び189名の大学院修了生がそれぞれの新たな人生へ向けて飛び立ちました。大分大学で大きく成長した卒業生等の姿は自信に満ち溢れていました。
皆さんも、健康で充実した実り多い学生生活を送り、先輩方に続き、立派に成長して、この学び舎を巣立つことを祈念して、告辞といたします。


 令和6年4月2日
 

大分大学長 北野 正剛