大学概要令和3年 学長年頭の挨拶

令和3年(2021年)学長年頭の挨拶

 皆さん,明けましておめでとうございます。
 年末年始はゆっくり休まれたでしょうか?

 さて,昨年は新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るい,本来なら開催されていたはずの東京オリンピックも延期となりました。本学も,卒業式・入学式の中止,オンライン授業の導入,学生への緊急支援金給付,WEBオープンキャンパスの実施,附属病院の収入減など,多大な影響を受け,コロナ対策に追われる一年となってしまいました。
 その中にあって,幸いにも本学関係者の中でクラスターなどの発生もなく業務に大きな支障が起きていないことに安堵しているところです。これも三股病院長,冨永看護部長,工藤保健管理センター所長,平松教授はじめ多くの医療スタッフの献身的な活動に対して教職員,学生すべての皆さんの協力があったからに他なりません。改めて感謝すると同時に引き続き緊張感をもって対処して貰いたいと思います。

 おかげをもちまして,このようなコロナ禍の中にあっても,本学は着実な歩みを止めることはありませんでした。
 いくつか時系列で紹介しますと,昨年4月から,新たな大学院として「福祉健康科学研究科」を設置しました。入学定員20名に対し,40名の志願者,23名の入学者があり,最高のスタートを切ったと言えるでしょう。

 6月には,「地域連携プラットフォーム」を設置しました。県内の高等教育機関と連携して,地域が抱える課題を解決するため,COC+推進機構を発展的に改組したものです。地域で活躍する人材を地域で育てるため,自治体はじめ関係機関等とのさらなる連携強化を期待しています。

 そして最も大きなトピックスとしては,6月30日の定例記者会見において,「新学科設置構想」を発表しました。新型コロナウイルスの感染拡大で顕在化した専門の技師や医療経営を担う人材の不足を補い,地域の医療体制を支えることを目的とした学科です。この新学科は,「生命健康科学コース」,「臨床医工学コース」,「医療マネージメントコース」の3つのコースによって構成され,45名の学生定員で,令和5年度の設置に向けて,現在,準備を進めています。

 県内に甚大な被害を及ぼした「令和2年7月豪雨」では,CERDの教職員を現地の災害対策本部に派遣するとともに,緊急支援物資を提供しました。さらに,医師や学生災害ボランティアを現地に派遣する等,大分県と連携して災害支援を行いました。

 10月には,本学で初めて「クロスアポイントメント制度」による民間企業2社への教員の配置を実現しました。今後も,この「クロスアポイントメント制度」を活用し,本学の研究シーズの事業化や産学連携の一層の推進を図っていきます。

 国際交流については,コロナの影響で海外との交流が停滞しましたが,その中にあっても,厚生労働省の日露医療協力推進事業の一環として,ロシアにおける小児内視鏡分野の普及・促進のためのテレカンファレンスを2回にわたり実施しました。ブータンの胃癌撲滅事業も,現在はオンライン教育を中心に対応しています。

 さて,一昨年,文部科学省から公表された「国立大学改革方針」を踏まえ,本学は,さらなる改革の加速に向けて,1.「大学のインテリジェンス・ハブ化」,2.「社会で求められる多様な人材の養成」,3.「戦略的大学経営の実現」という3つの観点から本学の改革を推進しています。令和5年度の新学科設置の他にも,本年は,全学の教育・研究を俯瞰的な立場から運営する「教育マネジメント機構」を設置するとともに,「研究マネジメント機構」や本学初となる全国共同利用型の「グローカル感染症研究センター」の設置などを予定しています。これらの組織改革に直接関わっている教職員の皆さんが,日々多大な労力を費やしていることには,頭が下がる思いです。

 おそらく,皆さんの中には,「なぜここまで改革を急ぐのか?性急すぎないか?」という声もあるかもしれません。しかし,2040年問題に直面する国立大学において,「国立大学改革方針」を踏まえた第4期中期目標・中期計画の策定は目前に迫っており,悠長に構えている時間はありません。時間に身を任せ,ただ流されるのではなく,強い意志を持って前に進まなければ,大分大学に未来はありません。イギリスの元首相 ウィストン・チャーチルは,「凧が一番高く上がるのは,風に向かっているときである。風に流されているときではない。」という言葉を残しています。我々も一丸となって時代の逆風に立ち向かい,この大分大学をより高いステージに上げていこうではありませんか!

 皆さんの奮起を期待して,私からの新年の挨拶とさせていただきます。


   令和3年1月6日


大分大学長 北野 正剛