大学概要令和4年度 入学式 学長告辞
学長メッセージ
令和4年度 入学式 学長告辞

皆さん,入学おめでとうございます。
本年は,1,108名の学部学生,230名の大学院学生の,計1,338名を新しく大分大学の仲間として迎えることができました。入学する皆さんや御家族の皆様に対しまして,心よりお祝いを申し上げます。
皆さんにとっては,高校生活の2年間は新型コロナウイルス感染症に翻弄されたものになったことでしょう。高校の学校行事も多くは中止または縮小され,大学のオープンキャンパスも大半がWEB開催という中で志望校を決めなければならず,戸惑うことばかりではなかったでしょうか。入学後も,昨年2回ワクチンを接種した方を対象に,3回目のワクチン接種を学内で実施しますので,是非ともワクチン接種をするようお勧めします。コロナ禍の出口はすぐそこまで来ていると思いますが,それまでは感染予防対策をしっかりとりながら,緑豊かな本学のキャンパスで新たな学生生活を始めてほしいと思います。
さて,皆さんが大学生として新生活を始めるにあたって,私から二点お願いがあります。
一つは,大人としての自覚を持ってほしいということです。この4月から,成年年齢が18歳に引き下げられました。ここにいる皆さんは,全員「成人」ということです。新成人は,携帯電話の契約やクレジットカードを作るときなども,保護者の同意が不要となります。社会は皆さんを大人の一員として認めるわけですから,皆さんも大人として相応しい行動をしなければなりません。ただし,飲酒や喫煙はこれまでどおり20歳までは禁止です。自分自身でしっかり健康管理をしてください。
特に,喫煙は深刻な健康被害をもたらします。国立がん研究センターの発表によると,日本全国で喫煙による年間死亡者が15万人,そのうち,受動喫煙が原因で1万5千人が亡くなっています。昨年の交通事故による死亡者数が2,636人ですので,喫煙がどれほど健康に有害であるか分かります。大分大学は学生や職員を煙の害から守るため,敷地内全面禁煙は勿論のこと,教職員の勤務時間内の喫煙禁止,教員の採用に当たって非喫煙者を優先する等,全国でも先進的な禁煙活動に取り組んできました。大分大学の学生だからこそ,ニコチン依存症は深刻な病気であることを正しく理解してください。
もう一つは,学生の間に,自分の生き方を見つけてほしいということです。皆さんの中には,「将来成りたいものは見つかってないけど,とりあえず大学に進学した。」「親や先生が勧めるからこの学部にした。」という方もいるでしょう。
皆さんは,大分県日出町在住のスーパーボランティア 尾畠春夫さんをご存知でしょうか。82歳になった今でも全国をボランティアで駆け回っている元気なご老人です。尾畠さんは,一昨年,大分大学の学生災害ボランティア講習の講師として来学され,私も学生と一緒に汗を流しながら土嚢づくりを学びました。彼は,著書の中で,このように語っています。「私は,人の意見に耳を傾けたら,心の中に持っているふるいにかける。砂金を拾うように,どの言葉が自分にとって金で,どれが砂か,誰かに決めてもらうのではなく,自分で決める」と。おそらく,「尾畠春夫」という生き方を見つけるまでには,多くの取捨選択があったのでしょう。皆さんも入学後は,様々な立場の人から様々なアドバイスを聞くことになりますが,人によって言うことが違い迷うこともあるかもしれません。アドバイスを送る人にとっての正解が,あなたの正解とは限りません。大学生活の中で出会う様々な言葉の中から,あなたにとって金となる言葉を見つけてください。
「花から始まる花はない」といいます。皆さんが将来立派な花を咲かせるための養分となる土,それが大学というものです。皆さんの最高の養分となる教育を提供できるよう,我々教職員も全力で大学改革に取り組んでいますので,どうか安心して勉学に励んでください。
皆さんが,健康かつ意欲的な学生生活を送り,やがて社会で大きな花を咲かせることを願って,私の告辞とします。
令和4年4月4日