大学概要卒業式・学位記授与式 告辞
令和6年度卒業式・学位記授与式 告辞

本日、卒業式・学位記授与式を迎えられた1,059名の学部卒業生、222名の大学院修了生及び学位取得者の皆さん、誠におめでとうございます。
また、今日まで皆さんの成長を支え見守ってこられたご家族や関係者の皆様、長きにわたりご支援くださいましたことへの御礼と心からのお祝いを申し上げます。
卒業・修了される皆さんの新たな門出にあたり、私からお祝いの言葉を送りたいと思います。
皆さんは、コロナ禍で様々な制限があった大学生活を経験され、思い描いた大学生活とは異なり戸惑うことも多かったと思いますが、皆さんのたゆまぬ努力により立派に乗り越え、本日、この素晴らしい新たな旅立ちの日を迎えました。家族や友人たちと一緒に十分に今日の喜びを味わってほしいと思います。
また、本日は、12名の留学生の皆さんも卒業・修了されます。留学生の皆さんは遠く祖国を離れ、ここ大分の地で勉学に励み、留学の目的を果たしました。言葉や習慣などが大きく異なる環境の中での勉強や生活には、さぞや苦労が多かったと思います。これまでの努力に対して敬意を表するとともに、祖国へ戻ってからも、この自然豊かな大分の地で学んだことを誇りに、活躍してもらいたいと思います。
皆さんが今日の日を迎えることができたのは、皆さん方自身の努力はもちろんですが、今までいろんなことで支えてこられたご家族を始め、長い学生生活の中で苦楽を共にした先輩や友人、また、様々な助言・指導をしてくださった教員や職員など、多くの方々の支援があったからこそだと思います。このことを、本日の喜びとともに、いつまでも忘れないでください。
これから、皆さんはそれぞれの世界へ羽ばたいていきます。
大学院に進学する皆さんは、学問を究めるという自己実現を目指していくことになります。学問は、人類の幸福に貢献する可能性を秘めています。皆さんの学問の探究を大いに期待したいと思います。
就職する皆さんは、社会人として、社会的なルールやマナーを理解・遵守しながら、地域社会あるいはグローバルなフィールドで、それぞれの職業において専門知識や技術などを活用して働き、皆さんが担う役割や責任を果たしていくことになります。さらには、社会の一員として、社会を発展させるという大きな役割も担うことになります。
2006年に、経済産業省が「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として「社会人基礎力」を提唱しました。さらに2017年度には、「人生100年時代」や「第四次産業革命」の下、これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力を「人生100年時代の社会人基礎力」と新たに定義しました。
これは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力と12の能力要素から構成されています。
これらの3つの能力と12の能力要素を内容としつつ、能力を発揮するにあたって、自己を認識してリフレクション(振り返り)しながら、目的、学び、統合のバランスを図ることが、自らキャリアを切りひらいていく上で必要と位置づけられています。
3つの能力のうち、まず、「前に踏み出す力」についてです。
この力を発揮するためには、指示されるのを待つのではなく、様々なことを能動的に捉え、失敗を恐れず自ら物事に粘り強く取り組むことや目的を設定し、確実に行動することなどが重要です。つまり、「主体性」、「働きかけ力」、「実行力」が必要な能力要素となります。
次に、「考え抜く力」についてです。
この力を発揮するためには、現状を分析し、目的や課題を明らかにし、論理的思考で課題解決に向けたプロセスを明確にして、創造することなどが重要です。
つまり、「課題発見力」、「計画力」、「創造力」が必要な能力要素となります。
次に「チームで働く力」についてです。
この力を発揮するためには、まず、自分の意見や考えを相手に明確に伝え、相手の意見を丁寧に聞くことが重要となります。また、ルールや規定を遵守しながら、業務の変化や状況を素早く理解し、適切に対応することや、さらには、対人関係などで発生するストレスをコントロールすることも必要となります。
つまり、「発信力」、「傾聴力」、「柔軟性」、「情況把握力」、「規律性」、「ストレスコントロール力」が必要な能力要素となります。
皆さんは、これらの要素を、大分大学での深い学びや共に学び合う大学生活を通じてしっかりと身につけてきたと信じています。これから、様々な経験をしながら、身につけたこれらの要素をさらにしっかりと育んでいただきたいと思っています。どうか、自信と誇り、また勇気をもって社会人としての道をしっかりと歩んでいってください。
これから皆さんが輝かしい未来に向かって羽ばたいていくにあたり、私から、さらに伝えたいことがあります。
それは、常に心身の健康を保ってほしいということです。
私は、長年、外科医として歩んできましたが、心と身体の健康は全ての活動の源であり、人が最も大切にしなければならないものと強く実感しています。
本学では、全国に先駆け、平成23年4月から全キャンパスを敷地内全面禁煙とし、積極的に無煙環境の構築を推進してきました。その結果、学生、教職員の禁煙意識は高まり、平成25年度から令和6年度までの11年間においては、学生の喫煙率が、旦野原キャンパスでは7%から4.8%に、挾間キャンパスでは3.2%から0.8%に大きく改善しています。
社会人となることで様々なストレスや環境の変化に悩むことがあるかもしれません。そのような時こそ食事、睡眠、運動など日々の健康管理を心がけた生活を送ってほしいと願っています。
自分自身の心が健康でなければ、他者への思いやりを持つことや共感することは難しいことです。社会は「共に生きる」ことで成り立っています。
たとえば、能登半島地震で被災した地域や方々にどのような形で関わりますか。
世界各国で起きている紛争問題について、どう感じていますか。
アメリカの大統領が交代したことによる経済や軍事等への影響についてどのように思っていますか。
これらは、遠い地域や世界で起きていることではなく、身近なところへの影響があることなのです。大切なことは、自分自身の人生に対する自分の考えをしっかりと持ち、他者に共感し、社会とどのような関わりを持つか、また、自分の頭で考え、自らの足で歩み、関わっていくかということであり、皆さんは大学生活を通して、しっかりと学んだはずです。
本日、皆さんは、大分大学を卒業・修了し、「学生」から「社会人」へと巣立ちますが、「創造的地球市民」にとって必要な使命は何かということを常に意識してもらいたいと思っています。
皆さんは、大分大学が総力を挙げて育んだ大切な宝物です。
皆さんが素晴らしい未来を手にして、幸せな人生を歩んでいくことを祈念して、告辞とします。
おめでとうございます!
令和7年3月25日