お知らせトピックス2023-013

博士前期課程の江口康弘さんが2023年繊維学会年次大会で優秀ポスター発表賞を受賞しました

 本学大学院工学研究科応用化学コース1年の江口康弘さん(檜垣研究室所属)が、2023年 繊維学会年次大会で優秀ポスター発表賞を受賞しました。

  • 発表題目:ポリスルホベタインジブロック共重合体水溶液の相分離挙動
  • 発表日時:2023年 6月 15日
  • 著者:江口康弘,倉岡直輝,舛田拓己,檜垣勇次

 近年、親水性分子が高度に狭雑した細胞内における液-液相分離の生命化学プロセスにおける重要性が認識されており、水性環境における親水性分子の相分離に基づく分子システムが注目されています。当研究室では、両親水性ブロック共重合体水溶液における格子状秩序構造形成と構造転移を発見し、両親媒性分子とは異質な新規分子集合体の創成と相分離機構の解明に取り組んでいます。
 本研究では、双性イオン型親水性高分子であるポリスルホベタイン鎖のみで構成される新たな両親水性ブロック共重合体の合成と、水中で形成される分子集合体の構造を研究しました。合成したブロック共重合体が希薄水溶液中でミセル状会合体、濃厚水溶液でミクロ相分離による格子状秩序構造を形成し、それらが分子構造と温度に敏感に応答して構造を変調する新たな水性分子集合体であることを示しました。分子構造の対称性が高いため界面張力が小さく、内包物質の相間移動エネルギー障壁の低い分子キャリアとして薬物送達など医療分野での応用も期待されます。本研究は、JSPS科研費 基盤研究B 「水性ミクロ相分離二相系高分子集積体の創成」 JP 22H02147、新学術領域研究(研究領域提案型)水圏機能材料:環境に調和・応答するマテリアル構築学の創成 「選択的水和による水圏メゾスコピック秩序構造」 JP22H04555、公益財団法人 小笠原敏晶記念財団の助成を受けたものです。(受賞対象発表件数:134件、受賞者数:10名)

受賞した江口さん
受賞した江口さん
賞状
賞状