お知らせ第137回学長記者会見

第137回学長記者会見

日時
2017-06-29
場所
大分県庁県政記者室
第137回学長記者会見

(事項1)ICTを活用し救急搬送中の心疾患患者を診断
    大分県遠隔画像伝送システムに 12誘導モバイル・クラウド心電図伝送機能を追加

 一般社団法人日本蘇生協議会作成が作成したJRC蘇生ガイドライン2015において,病院前12誘導心電図を記録して病院へ事前通知することが推奨されているところですが,大分県内において,救急車から12誘導心電図を伝送することにより,心臓カテーテル検査(心カテ)開始および治療終了までの時間を短縮すること目的に,大分大学医学部附属病院災害対策室に事務局を置く大分県遠隔画像伝送システムに,新たに12誘導モバイル・クラウド心電図伝送機能が追加され,7月1日より本格稼働することとなりました。
 救急車の位置情報および映像情報と同時に心電図伝送を県レベルで行うのは,全国初の試みです。

 大分県では,平成26年7月より遠隔画像伝送システム(画像伝送システム)が導入されています。
導入から14か月間で,10消防本部の救急車34台及びドクターカー3台から4救命救急センターへ, 414件の映像情報・位置情報の伝送を行い,本学はその有用性について様々な学会で報告して来ました。
 今回,平成28年度地域医療介護総合確保基金を用いて,本システムへのクラウド心電図機能追加を行いました。追加した機能による治療までの流れは下記のとおりです。

1.10消防本部に1台ずつクラウド心電計を配備し,通信には画像伝送システムのタブレット端末を利用
2.急性心筋梗塞が疑われれば,救急隊は搬送先病院へ心電図伝送
3.循環器科医は,院内,院外にかかわらず,クラウド上の心電図を確認し心カテの適応を判断
4.心カテが必要と判断された場合は,病院到着後,速やかに心カテ・治療を開始

 当システムは,4救命救急センター,経皮的冠動脈形成術(PCI)が行える9施設,5地域中核病院が参加して,本年4月17日から6月31日までの予定で試験運用を行った結果,6月16日までに34件の心電図伝送が行われ,うち6例で緊急心カテが行われました。この6例は,傷病者到着前から心カテが決定され,病院到着から検査・治療までの時間が短縮できました。
 なお,9例においては,心電図所見から心筋梗塞は否定的であり,近隣の医療施設に搬送し対応することにより,不必要な遠隔地への搬送を回避できました。
 PCI施設までの搬送に時間のかかる地域の多い大分県では,クラウド心電図は非常に有用な手段となるとことが想定されます。

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(事項2)地(知)の拠点による地方創生推進事業(COC+)
    シゴト発見フェスタ&インターンシップフェア 開催

 大学等による「おおいた創生」推進協議会(会長 北野 正剛大分大学長)は,地(知)の拠点による地方創生推進事業(COC+)の一環として,7月2日に大分大学旦野原キャンパスにおいて「シゴト発見フェスタ&インターンシップフェア」を開催します。

 大学等による『おおいた創生』推進協議会では,平成27年度文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生事業(COC+)」で採択された「地域と企業の心に響く若者育成プログラムと大分豊じょう化プラン」と相乗して,大学等の持つ研究開発能力や学生の活力を地域社会と連携させることにより,地域の活性化・地域人材のレベルアップ・若者の地域との連携及びそれによる地域定着を推進するための事業を実施しています。
 この事業に参加する県内の大学,短期大学の学生に対して「県内就職率向上」,「県内定着」を図るために,県内企業と学生のマッチングを促進する取組として,第1部「シゴト発見フェスタ」と第2部「インターンシップフェア」を実施します。
 第1部・第2部ともに,大学1年生・2年生及び短大1年生の低学年層をメインターゲットとし,「自分を知ること」,「仕事を知ること」を目的としています。低学年の段階からキャリア構築を意識させることで,その後の就職活動の負担軽減と大学での学びの再確認につながることも期待できます。
 第1部の「シゴト発見フェスタ」では,参加者が職業適性検査を受け,その結果をもとに,適性があると判断された職種の説明を受ける内容となっています。職種は,大分県内に事業所のある企業の協力により,事務職,営業・販売職,サービス・福祉職,研究・開発職,工業技術職,情報技術職,経営分析・企画職,クリエイティブ職,身体活動系職など9つのカテゴリーで47職種以上の職務紹介と併せて,県内優良企業40社も紹介します。
 第2部では,今年の夏季休業期間中にインターンシップ受入を予定している企業を紹介します。企業名ではなく,第1部で興味を持った職種の職業体験をすることによって,学生が各人の職業適性を発見することを目的としています。

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(事項3)大分大学公開講座 夏休み子どもチャレンジ

 大分大学高等教育開発センターは,地域拠点大学として教育・研究・医療等の成果を地域社会に還元することにより,地域社会との連携と共存を図り,その発展に貢献することを目的として,様々な大学開放事業を実施しています。
例年,小中高等学校の夏休み期間中に開講しています。
 いずれも定員を上回る申込みがあり,抽選により受講者を決定する人気の講座ばかりです。

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その他の事項

(事項1)「夏休み子どもサイエンス2017」開催

 「夏休み子どもサイエンス2017」は,大分大学の教職員を中心に大分県下の小中高等学校の理科担当教員で組織した「大分県理科・化学教育懇談会」が実施する,小学生の親子を対象とした理科の実験体験スクールです。
子どもの理科離れが叫ばれる昨今,子どもだけを対象とするのではなく,親子で自然科学への興味・関心を深めてもらうことを目的としており,今年で17回目を数えます。
 今年度も,化学から生物まで,幅広く自然科学に興味を持ってもらえるような18テーマの実験を用意しています。

 本事業の参加人数は1,000名を予定しており,この種の実験体験型スクールとしては全国的に見ても規模が大きく,日本化学会や地域の保護者からも高い評価を得ています。
今年度は「手作りジェルキャンドル」,「バナナの中のDNAを見てみよう」,「放射線を見てみよう!聞いてみよう!」など18種類のテーマの中から1組の実験(2種類の実験)を体験することができます。また,申し込み不要の自由参加のテーマ「ヘリウムガスの不思議!」も実施します。
※定員に達しましたので,申込受付を終了しました。

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(事項2)宇宙・天文分野に特化した合同進学説明会 「宇宙を学べる大学in九州」開催

 宇宙・天文分野に特化した九州地区の合同大学進学説明会を7月23日に大分市で開催します。
 九州及び愛媛県,山口県の天文学や宇宙工学を学べる大学に所属する研究者が,宇宙や天文に興味のある中高生などを対象に,それぞれの研究内容等を紹介し,個別に進学相談も行います。
 また,天文講演会も実施します。

 日本には宇宙について学べる大学がたくさんあります。とはいえ,それらのどの大学でも同じことが同じように学べるわけではありません。宇宙はとても広く,宇宙について研究する方法もいろいろあるからです。
 そこで,主に宇宙や天文に興味のある中高生が,希望にマッチする研究を行う大学を選ぶために,九州内の大学を中心に,天文学や宇宙工学の研究室の教員が年に1回集まって 参加者に大学や研究室とはどのようなところなのか,それぞれの大学にはどのような教員がいて,どのような研究や活動をしているのかなどを総合的に紹介するとともに,個別進学相談も行います。
 また,宇宙関連の研究を行っている科学者による,天文講演会も行います。

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(事項3)物理学の未解決問題 ~ガラス構造の謎を解明? 理工学部共創理工学科岩下准教授らの論文が
    Nature Communications に掲載

 米国ミシガン大学の Yue Fan 准教授氏,テネシー大学の Takeshi Egami 教授と大分大学理工学部共創理工学科自然科学コースの岩下拓哉准教授の共同研究チームは,ガラスの安定性に関わる冷却中の非平衡な挙動をシミュレーションとモデリングにより明らかにしました。

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