お知らせ平成30年度 第8回 学長記者会見

平成30年度 第8回 学長記者会見

日時
2019-0117
場所
大分県庁県政記者室
平成30年度 第8回 学長記者会見

(事項1)人工知能ナビゲーション手術の検証実験に成功
    ~国立研究開発法人日本医療研究開発機構 平成29年度 未来医療を実現する医療機器・
    システム研究開発事業 採択課題~

 本研究は,腹腔鏡下胆嚢摘出術において,手術を行う際の目印(ランドマーク)を暗黙知する内視鏡外科医から教師データを抽出し,これを人工知能に学習させ,術中の内視鏡カメラ映像に重畳表示する医療システム「Smart Endoscopic Surgery(以下SES)」の構築を目的とします。本学医学部・理工学部,福岡工業大学情報工学部,オリンパス株式会社の共同研究により,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究助成を受けて研究を行なっており,今回,実用化に向けた検証実験に成功しました。
 SESは,従来の光学機器(内視鏡)が術者に拡大視野と鮮明画像を提供するものであったのに対し,熟練医の暗黙知が集約された人工知能を搭載した次世代型内視鏡カメラシステムであり,標準化された内視鏡外科手術におけるランドマークを術者に教示する機能を持ちます。このため,この機器の開発が進み実用化された場合には,以下の利点があると考えられます。
・外科医は人工知能の補助により,切って良い部分,切ってはいけない部分をより確実に認識でき,誤認の防止に繋がる。
・人工知能はこれまでの手術ビデオを自動的に学習し,多くの症例経験を積むことができる。
・他の術式にも応用可能であり,外科手術全体の安全性の向上に繋がる。

 研究グループでは,これまでに以下の3つの段階を踏んで機器開発を行ってきました。

研究開発項目1:
ランドマークタグ付けソフトウェアの開発(実施機関:オリンパス(株))
エキスパート外科医が容易にタグ付け可能な入力インターフェイスを設計し,自動タグ付けアルゴリズム研究開発を行う。さらにソフトウェアの基本機能として,タグ修正作業を容易にする支援機能,ダブルチェック機能,データセットの出力機能を搭載する。
研究開発項目2:
エキスパート暗黙知のデジタルデータの生成(実施機関:大分大学)
「Calot三角展開」ビデオクリップを,研究開発項目1で開発したランドマークタグ付けソフトウェアに読み込み,エキスパート外科医がタグ付け作業を行うことでデジタルデータを生成する。
研究開発項目3:
ランドマークを教示する人工知能ソフトウェア(実施機関:大分大学,福岡工業大学)
研究開発項目2において,ランドマークである胆嚢頸部Calot三角を構成する総胆管・総肝管,胆嚢管,肝S4の下縁,ルビエレ溝,それぞれのタグ付けされたデジタルデータが用意される。これらを教師データとする人工知能ソフトウェアを畳み込みニューラルネットワークを用いて開発する。また,テストデータを用いたエキスパート外科医を交えた評価を行う。
 今回,開発した人工知能システムSESが,実際の手術中にリアルタイムに表示可能かどうかを検証する実験を本学医学部附属病院にて行った結果,SESは,実際に手術中にリアルタイムにランドマークを教示することができ,検証実験は成功であった。

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(事項2)別府市で「火山防災セミナー」を開催

 火山噴火に伴う災害は主に活火山周辺地域で発生しています。九州でも1991年に始まった雲仙普賢岳噴火では,火砕流・土石流により,多くの人命を失うと同時に社会的損失を生み,その後の火山防災対策が重要視されるようになりました。
 大分県では鶴見岳・伽藍(がらん)岳,九重山,由布岳の3つの活火山を有しており,多くの方が活火山の山麓に生活しています。しかし,生活のなかで噴火を経験する機会がなく,火山に対する認識や防災への対応は十分ではありません。そこで,大分大学減災・復興デザイン教育研究センターは,鶴見岳・伽藍岳を取り巻く火山防災の現状と,噴火災害の実態を理解することにより,地域防災・減災の意識高揚を図ることを目的として,昨年11月に連携協定を締結した大分地方気象台と共催でセミナーを実施します。

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(事項3)「河川防災・減災セミナー2019」を開催

 平成27年水防法改正を踏まえ,国土交通省と大分県は,想定し得る最大規模の降雨により,洪水で浸水が想定される区域の指定・公表を進めており(国管理区間は平成28年度に指定・公表済み),大分市と由布市は,指定された区域において,避難場所等を追記した洪水ハザードマップ作成を予定しています。
 大分大学減災・復興デザイン教育研究センターは大分川・大野川圏域大規模氾濫に関する減災対策協議会と共催で「河川防災・減災セミナー2019」を開催します。
 本セミナーは,住民の方への洪水ハザードマップの円滑な周知を目的として,地域防災の担い手の方を対象に,想定している降雨や浸水が想定される区域,その水深及び浸水継続時間等の説明を行います。

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(事項4)「平成30年度おおいた産学官交流合同シンポジウム」を開催

「おおいた産学官交流合同シンポジウム」を,1月22日にJ:COMホルトホール大分で開催します。
 このシンポジウムは,大分県の産学の技術的交流を深めることを目的としてこれまで個別に行われていた大学・高専・大分県産業科学技術センターが企業の方に研究成果を紹介し,活用の促進を図ることを目的に開催する「合同研究成果発表会」,企業の経営者・技術者および行政機関が集まり実施する「大分大学技術交流会」,産学の関係者が集い,企業と大学や研究機関等が気軽に話し合えるきっかけづくりの場として実施される「大分市産学交流サロン」の3つの企画を合同で実施するもので,今回が初めての開催です。

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(事項5)大分大学生を対象に「応急手当普及員講習会」を開催

 大分大学減災・復興デザイン教育研究センターは,主に大分大学生を対象に,応急手当の普及活動を行う際の「AEDの使用」を含めた,心肺蘇生法の知識と技術を習得することを目的とした講習会を3日間にわたり行います。
 受講修了者には大分市消防局より「応急手当普及員認定証」が交付され,応急手当普及員として,地域の方や学生等へ心肺蘇生法の指導(講習会)を行うことができるようになります。
 大学主催で在学生を対象にした「応急手当普及員講習会」はこれまでにあまり事例がなく,全国でも珍しいです。
 今回の講習会では,基礎医学(人体の構造,感染防止)と応急手当(AEDの使用方法を含む)の実技や,指導方法など応急手当に関する基礎を学びます。

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その他の情報

(事項1)「2018年度 おおいた創生シンポジウム」を開催

 学生の学びと地域・企業との地域創生の活動を充実させることを目的に,「未来の大分を担う若者にバトンを渡すために出来ることは!」をテーマに,「2018年度 おおいた創生シンポジウム」を開催します。
 平成28年度から大分県の支援で実施している「地方創生大学等連携プロジェクト支援事業」が今年度で最終年度を迎えることから,これまで学生が地域や企業と協働して行ってきた活動及び成果の発表を行う他,地方創生に関するトークセッションを行います。
 大学等による「おおいた創生」推進協議会では,平成27年度の文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生事業(COC+)」で採択された「地域と企業の心に響く若者育成プログラムと大分豊じょう化プラン」と相乗して,大学等の持つ研究開発能力や学生の活力を地域社会と連携させることにより,地域の活性化・地域人材のレベルアップ・若者の地域との連携及びそれによる地域定着を推進するための2種類の支援事業(「学生による地域ブラッシュアップ」プログラム,「おおいたプロモーション」プログラム)を大分県から受託して実施してきました。
 この「地方創生大学等連携プロジェクト支援事業」の3年間の集大成としてこれまでの成果発表を行うとともに,学生,教職員,県内企業及び自治体関係者等,COC+事業に関わってきた関係者が一堂に会して,活発な意見交換を行います。

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(事項2)とよのまなびコンソーシアムおおいた連携講座 豊の国学分野別講座 開催

 大分県内の大学,短期大学及び高等専門学校の高等教育機関が設立した『とよのまなびコンソーシアムおおいた』が主体となり実施する,大分県に関する様々な分野の専門的・学術的な教育内容等を連携・融合させた講座を開催します。
 豊の国(大分県)の「人」,「文化」,「自然」について更に学びを深めていただくために分野別の講演会を3日に分けて行います。



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(事項3)大分大学福祉科学研究センター講演会を開催

 大分大学福祉科学研究センターは,平成31年2月8日にJ:COMホルトホール大分にて,独立行政法人 都市再生機構(以下UR都市機構)の時田伸二氏を講師に招き,講演会を開催します。
 UR都市機構は,日本の住宅・都市環境の改善に資することを目的とし,都市再生,住環境整備,災害復興,郊外ニュータウン整備,賃貸住宅管理等の事業を展開するとともに,公的機関として,日本企業の海外における事業展開を支援しています。
 UR都市機構がこれまで取り組んできた事業事例を基に,各国が何の技術をUR都市機構に求めているかを,中国を事例に「住み続けられるまちづくり -安心・安全・快適-」の視点から紹介します。

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(事項4)教育福祉科学部芸術表現系 卒業研究プロジェクト

 大分大学教育福祉科学部で,主に芸術表現に関わる諸分野を学んできた学生が協力し,これまで学んできたことの集大成である卒業研究を自らの企画・立案によって発表します。
 今回は,学校教育課程教科教育コース音楽選修及び美術選修,情報社会文化課程総合表現コースの卒業予定者によって行われます。
 身体表現,音楽,美術といった異なる領域を,共に学んだ学生たちが,お互いの感性を高めあって生まれる豊かな表現の集大成をぜひご鑑賞ください。

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