お知らせ令和元年度 第8回 学長記者会見

令和元年度 第8回 学長記者会見

日時
2019-1224
場所
大分県庁県政記者室
令和元年度 第8回 学長記者会見

(事項1)大分大学とブータン王立ケサル・ギャルポ医科学大学が国際交流協定を締結

 ブータンは,ヒマラヤ山中にある人口約80万人の小国ですが,胃癌多発国(胃がん死亡率世界2位)です。
 本学環境・予防医学講座山岡𠮷生教授(医学部長)は,2010年から現在まで現ブータン首相のLotay Tshering医師と共同でブータンにおけるピロリ菌に関する大規模疫学調査を実施,胃癌とピロリ菌の関連性に関する研究を手掛けてきました。
 山岡教授の研究により,ブータンでは8割近い方がピロリ菌に感染し,感染しているピロリ菌の毒性が非常に高いこと,さらにピロリ菌の除菌によく用いられているメトロニダゾールという抗菌薬の耐性率が9割に達することが判明し,ネイチャー誌の総説など国際医学誌に発表してきました。
 そこで,Lotay Tshering首相のもと,ブータン保険省および王立ケサル・ギャルポ医科学大学(ブータン唯一の医学教育の大学)と共同で,現在,山岡教授が中心となってブータンにおける胃癌撲滅対策のガイドラインを作成するように依頼されています。
 また,その一環として,今月山岡教授と松本助教が,ブータンを訪問,ダワカ村という2000名ほどの村で,12歳以上の住民すべてに血液を採取して,ピロリ菌感染の有無を調べるプロジェクトを開始しました。
 さて,2010年当時,ブータン国内で内視鏡検査ができる医師はLotay Tshering現首相のみで,内視鏡機器も1台しかありませんでした。現在までに山岡教授らの指導もあり,10名程度が内視鏡検査を施行できますが,内視鏡機器はわずかに3病院に設置されているのみの状況です。そこで,現在,ブータンにブータン内視鏡学会を設立させるように山岡教授が働きかけ,設立できた際には,北野正剛学長が理事長を務めるAPSDEの支援のもと,ブータンにおける内視鏡指導の充実を試みております。さらに,本学と強固な関係を結ぶべく,この度,ブータン唯一の医科大学である王立ケサル・ギャルポ医科学大学と本学の間に大学間協定を締結する運びとなりました。
 ブータンの教育・研究等機関との間で締結する交流協定は初めてとなり,本学が交流協定を結ぶ海外の教育・研究等機関は29の国・地域の100機関となります。

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(事項2)大分大学 STEAM Lab.の設置

 大分大学STEAM Lab.を,本学教育学部内に令和元年11月13日付けで設置しました。なお,大学としてSTEAM教育に関する組織を設置するのは,本学が全国で初めてです。
 現在,社会の大きな変動を受けて,学校における学びも変革の時期を向かえ,学校現場ではSociety5.0における教育に対応した教員が求められています。具体的には,データサイエンスやAIリテラシー,ICTの利活用や学習環境デザイン等の十分な知識・技能の習得,そして個別最適化された学びに応じた支援に対する実践的指導力の育成が考えられます。このような教育の考え方について,欧米諸国を中心としてSTEAM教育の推進が行われており,日本においても注目されています。STEAM教育に関連する諮問・提言として,「Society5.0に向けた人材育成~社会が変わる,学びが変わる~」(平成30年6月5日Society5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会,新たな時代を豊かに生きる力の育成に関する省内タスクフォース報告)や,技術の進展に応じた教育の革新(抄)(令和元年5月17日教育再生実行会議提言)等においてもその重要性が示されています。
 本学として,教員養成における学生教育や教養教育改革をはじめ,また地域貢献としての役割を担うためにも,大分県の各学校園や,行政,企業・団体,NPO法人,教育委員会などと連携してSTEAM教育の活動拠点を形成し,その普及に務めることは重要であると考えられます。そこで,大分大学STEAM Lab.を設置し,STEAM教育を主軸として,以下の活動に取り組むこととしました。

(1)学生教育
 1.教員養成教育の充実
  (情報活用能力やAIリテラシー,データサイエンス等に対する実践的活用指導力の育成)
 2.教養教育の充実
  (統合された知識・技能の習得を目指し,これからの社会に共通的に求められる知識や思考法などの
   技法を学修)
 (2)地域連携・貢献
   学校現場における学習活動に大学教員や教員志望の学生が協力・連携し,教員研修や出前講義等を
   通して,新しい時代に向けた質の高い教育実践の実現を目指します。また,地域の子ども達や大人
   を対象に,科学実験教室,ものづくり教室,AI利活用教室等を展開し,地域貢献を行います。
 (3)産学官連携
   現在,大学教員が個々で連携している教育委員会や学校園,公益財団法人等と,大分大学STEAM
   Lab.として活動を連携・展開するとともに,学校現場と産・官とのかけ橋としての役割を担い,
   機能強化を図ります。

 大分大学STEAM Lab.では,2020年2月11日(火・祝)にJ:COMホルトホール大分において「大分の教育の未来をみつめるシンポジウム~STEAM教育とAIリテラシーの育成~」を開催します。「AI時代」「第4次産業革命」「Society5.0」などの言葉に示されるように,我々の社会は大きな変革期にさしかかっています。本シンポジウムでは,変化に適応しうるしなやかで持続可能な力について認識を深め,未来を創る子供たちがその力をいかに培っていくのか,産学官において考究することを目的としています。
 また,大分大学STEAM Lab.の活動内容等について,Webページで情報を発信しています。ご参照いただければ幸いです。
 URL:http://steamlab.ed.oita-u.ac.jp/

※用語説明
「STEAM(スティーム)教育」
STEAM教育とは,Science(サイエンス:科学),Technology(テクノロジー:技術),Engineering(エンジニアリング:工学),Arts(アート:芸術,教養),Mathematics(マセマティクス:数学)等の各学問領域を関連分野と統合し,想像的・創造的なアプローチで問題解決を行ったり,新たな価値を創造したりする能力の育成を目指す教育。


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(事項3)災害時におけるドローン情報共有実証実験

 大分大学減災・復興デザイン教育研究センターでは「防災・減災のための情報活用プラットフォーム(EDiSON)の構築」の一環として,災害時におけるドローン情報共有の実験を行います。
 近年のドローンはその機動力や性能性において迅速な災害情報として有用です。県や自治体,または警察や消防で運用や活用の方法が異なっており,機関毎に対応しているのが現状です。また,迅速な災害対応が必要とされるなかで,災害時に局所的な災害情報を把握(共有)することが重要となりますが,ドローンを用いた情報の共有化に関しては現在,その仕組み(システム)がありません。
 今回の実証実験においては,災害情報活用プラットフォーム(以下,EDiSON(エジソン))におけるドローンデータ共有システムについて行うものです。建設業や測量設計業をはじめとする産学官が連携しドローンによる動画情報を収集。プラットフォームとなるEDiSON(エジソン)にアップロードすることで動画データの分析・共有化を図ります。情報は国や県,自治体や関係機関と共有し,災害対応業務への活用,被災状況の確認・対応,復旧へ利用することを目的としています。これらの動画情報をEDiSON(エジソン)災害データアーカイブとして記録し,防災教育等への活用を目指します。
 本実証実験では建設業協会日田支部及び大分県測量設計コンサルタンツ協会の協力のもと,災害時におけるドローンデータ実用の可能性や協力団体との連携,情報の迅速性等について検証を行います。実稼働に至るまでにはシステムに要する技術的課題はもちろんのこと,ドローン運用に関する法的な課題や,組織連携,管理・費用の課題があります。本実証実験(研究)を通してこれらの有用性を明らかにし,課題解消に向けて関係機関とともに進めていく必要があります。
 ドローン情報共有化に関する実証実験については,令和2年1月29日(水)18時より30日(木)12時にかけて日田市小野地区において実施します。小野地区一帯に数日にわたって集中豪雨が発生,前日の夜から「大雨特別警報」が発令され,19時現在,気象庁の予報では今後,雨は小康状態となり天気は翌朝にかけて回復する見込みであるという想定の下,実施します。

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(事項4)令和2年(2020年)1月以降の入試日程

大学入試センター試験以降の本学入試日程の詳細をお知らせします。

■大学入学者選抜大学入試センター試験
 試験日: 1月18日(土)~19日(日)

■センター試験を課すAO入試(医学部医学科)
 試験日: 2月9日(日)
 合格者発表:2月12日(水)10:00

■特別入試(帰国子女,私費外国人留学生,社会人)
 出願期間:1月7日(火)~10日(金)
 試験日:1月29日(水)
 合格者発表:2月14日(金)10:00

■一般入試(前期日程,後期日程)
 出願期間 : 1月27日(月)~2月5日(水)
 ※インターネットを利用した出願です。

■個別学力検査試験日
【前期日程】
 2月25日(火) 教育学部・経済学部・医学部看護学科・理工学部・福祉健康科学部
 2月25日(火)・26日(水) 医学部医学科
【後期日程】
 3月12日(木) 教育学部・経済学部・医学部看護学科・理工学部・福祉健康科学部

■合格者発表
【前期日程】3月6日(金)10:00
【後期日程】3月20日(金)10:00

その他の情報

(事項1)減災シンポジウム in 中津 -災害多発時代を生きるために- 開催

 本学が県内自治体と毎年開催している防災シンポジウム(今年度より減災シンポジウム)を今年も開催します。
 今回は中津市にて -災害多発時代を生きるために- をテーマに講演,学生提案,パネルディスカッションを行います。
 シンポジウムにより地域社会における防災・減災力の向上への取組の一助となることを期待しています。
 本学は,平成23年度から県内各地で地域における防災・減災を目指す「防災シンポジウム」(今年度より「減災シンポジウム」)を開催しており,県民の防災意識の向上と自治体等の防災・減災対策に少なからず貢献できたのではないかと考えています。
 今年度も,一般市民の方を対象として開催します。なお,事前に中津市の高校生と本学学生らによる中津市内を対象としたフィールドツアーを開催しました。このツアーでは中津市内の山間部から中心地にかけて過去の災害地や想定される災害などを調べ,減災社会に向けた未来の地域づくりを生徒や学生らが検討しました。これらの成果を,次世代を担う若者から中津市への提言として本シンポジウムで発表します。

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(事項2)「河川防災・減災セミナー2020」開催

 近年,豪雨に伴う激甚災害が頻発しています。平成30年7月豪雨や令和元年台風第19号では,多数の給油取扱所の浸水,浸水による漏電火災やアルミニウム工場による爆発等が発生。令和元年8月の前線に伴う大雨による浸水では,佐賀県の鉄工所において多量の油が流出する事故が発生しました。
 これらの災害に対しては,地域の洪水ハザードマップを参考にリスクを確認し,災害時における行動や対策を平時からあらかじめ備えておくことが重要です。
 本セミナーは,事業所を対象に,洪水に備えて事前対策や事業計画を作成するために必要な知識の習得を目的として,大分川と大野川の洪水リスクや浸水に備えた先進的な事業所の取り組み事例等を紹介します。

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(事項3)竹田市にて「健康一直線応援セミナー ~まろっと 健康~」 開催
    -大分大学・大分県信用組合包括連携協定に基づく事業-

 竹田市,大分県信用組合,本学ほかの共催により,竹田市にて「健康一直線応援セミナー ~まろっと健康~」を開催します。
 県民の健康づくりに関する事業の推進、連携及び調整を図り,健康寿命日本一おおいたを創造するため大分県ではさまざまな取り組みを実施しています。
 このような中,「健康寿命日本一」を目指して創設された,「健康寿命日本一おおいた創造会議」の会長を北野学長が務める本学と,「健康寿命日本一おうえん企業」として各種支援活動を行っている大分県信用組合,県内各自治体がタッグを組み,平成29年度(2017年度)より健康セミナーを開催しています。
 今回は竹田市にて,本学医学部呼吸器・乳腺外科学の杉尾賢二教授の講演が行われます。

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