お知らせ令和3年度5月学長記者会見

令和3年度 5月学長記者会見

日時
2021-0528
場所
大分県庁記者会見室
令和3年度 5月学長記者会見

(事項1)令和3年度「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」において
    本学申請課題「ピロリ菌感染症関連死 撲滅に向けた中核拠点形成事業」が採択

 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下AMED)と独立行政法人国際協力機構(以下JICA)が共同で実施する令和3年度「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」に本学医学部山岡𠮷生教授を研究開発代表者として申請した課題「ピロリ菌感染症関連死撲滅に向けた中核拠点形成事業」が採択されました。
 ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染症は,胃癌などを引き起こすことで知られていますが,本課題の協力国であるブータンは胃癌好発国であり,胃癌死亡率は世界で3番目に高い状況です。また,この感染症の有効な治療法の一つに除菌治療がありますが,抗菌薬耐性を持つピロリ菌の拡大が大きな問題となっており,2017年にはWHOによって早急な対策が必要な感染症として位置づけられています。
 本課題では,研究開発代表者である山岡教授とブータン人研究者で現首相でもあるLotay Tshering氏のこれまでの研究成果をもとに実施するもので,科学技術力によるピロリ菌感染症及び薬剤耐性菌の制圧と,包括的な医療体制の補強によってブータンの自立的発展性を強化し,ブータン政府による胃癌検診の始動へとつなげ,ピロリ菌感染症関連死の撲滅を目指し,総事業費は年間約1億円程度の支援で今後5年間事業を進めます。具体的には,検査キットの開発や薬剤耐性試験の開発・技術移転のみならず,本学の強みである内視鏡教育国際ネットワークを活用したブータン国内での内視鏡技術の向上やピロリ菌感染症に関する全国調査・啓発活動を行っていく予定です。
 本事業は,山岡教授がこれまでの本学とブータン王国との学術交流実績と,共同研究者で首相でもあるLotay Tshering氏からの要望をもとに,アドテック株式会社,オリンパス株式会社と連携し,ブータン国内でのピロリ菌感染症関連死撲滅を目指します。
 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)は,一国や一地域だけで解決することが困難であり,国際社会が共同で取り組むことが求められている地球規模課題の解決及び科学技術水準の向上につながる新たな知見や技術を獲得することや,これらを通じたイノベーションの創出を目的としています。また,この国際共同研究を通じた開発途上国の自立的研究開発能力の向上と課題解決に資する持続的活動体制の構築を図るもので,我が国の科学技術外交の大きな柱の一つです。
 今回の募集では,日本医療研究開発機構(AMED)と国際協力機構(JICA)による書類審査・ヒアリング審査の厳正な審査が行われた結果,17件の応募(感染症分野)から2件の課題が採択されています。

詳細はこちら(SATREPS)

(事項2)宇佐市のアドテック株式会社が新型コロナウイルス抗原検査 キットを附属病院職員の体調管理,
    早期診断のために提供

 医学部附属病院は宇佐市にあるアドテック株式会社から同社が開発した新型コロナウイルス抗原検査キット(商品名:アドテストSARS-CoV-2)を,全病院職員に相当する1,400人分(14,000キット),提供がありました。
 本検査薬は同社と長崎大学熱帯医学研究所が共同開発したもので,新型コロナウイルスの感染を約15分で簡便に診断できるキットで,既に体外診断用医薬品としての承認を受け,大分県内の老人介護施設や医療施設などにも提供を始めています。
 同社は,本キットを利用し新型コロナウイルス感染症患者の受入れや医療に従事する附属病院職員が登院前の体調管理や患者との濃厚接触や感染を疑われた際の早期診断に利用して欲しいと,提供を決めました。
 アドテック社は狂犬病や重症熱形血小板減少症候群(SFTS)の迅速診断試薬の開発を通じて,本学微生物学講座西園教授とSTATREPS事業など国際共同研究事業を長年にわたり継続しており,今回の診断薬開発にあたっても西園教授からの仲介もあって長崎大学との連携で開発が行われました。
 現在全国で流行が拡大中の変異株新型コロナウイルスに対しても,今回の抗原検査キットは正確に検出できることを西園教授らと確認しています。
※5月19日までに約800人分を看護職員などの医療従事者へ配付済。残る約600人分については,医療従事者,病院実習中の学生への対応のため今後配付予定

詳細はこちら(アドテストSARS-CoV-2)

(事項3)厚生労働省 日露医療協力推進事業 小児周産期分野(小児内視鏡)の協力事業に採択

 昨年度に引き続き,厚生労働省が実施する日露医療協力推進事業 小児周産期分野(小児内視鏡)の協力事業に,令和3年5月20日付けで採択(2,700万円)されました。
 この事業は,平成28年5月に当時の安倍総理からプーチン大統領に対して提示された8項目の「協力プラン」の具体化を図るものの1つで,ロシアにおける小児内視鏡分野の普及,促進を目的としています。
 日本からは本学の北野正剛学長をはじめ,鹿児島大学,順天堂大学,名古屋大学,東海大学,神戸大学の専門医により実地トレーニング,意見交換等を行います。
 昨年度に引き続き,ロシアのクラコフ名称産科・婦人科・新生児科科学センターとのテレビ会議システムを利用したテレカンファレンスによる協議や手術手技の説明,情報共有により事業を実施し,新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえ訪露や訪日について検討する予定です。

■テレカンファレンス実施(複数回実施予定)
■ロシア側主催のセミナーへ参加
■第34回日本内視鏡外科学会総会へクラコフ名称産科・婦人科・新生児科科学センター医師の招聘
■クラコフ名称産科・婦人科・新生児科科学センターでの実地トレーニングやワークショップの開催
※上記実施事項の日程については,新型コロナウイルスの状況を踏まえ,ロシア側と協議の上決定する予定です。

(事項4)5月31日は世界禁煙デー
    タバコのない大学キャンパス実現に向けた大分大学の取組

 5月31日はWHO(世界保健機関)が定める世界禁煙デー,5月31日~6月6日は厚生労働省が定めた禁煙週間です。禁煙週間を迎えるにあたり,本学の無煙環境構築の最近の取組をお知らせします。

■クリアファイル及び幟(のぼり)の作成
本学学生を対象に公募を実施し(公募期間:R2.11.26~R3.2.19)採用が決定したデザインをもとに,クリアファイルと幟を作成しました。幟は構内各所に設置し,禁煙に関する啓発を行っています。クリアファイルは全学生・教職員に配付します。この取組みは平成27年度から毎年継続して実施しており,今回が6回目です。

■服務ハンドブック(第3版)に以下の内容を明記
「喫煙後45分間は呼気中に有害成分が排出されることが,最近,医学的にも確認されています。今後とも,健康増進法(平成14年法律第103号)の趣旨を踏まえ,受動喫煙による健康被害の防止に協力願います」

【大分大学の無煙環境構築のこれまでの取組】
平成19年 1月 挾間キャンパス全面禁煙実施
平成19年 8月 王子キャンパス全面禁煙実施
平成23年 4月 旦野原キャンパス全面禁煙実施
       全キャンパスにおいて敷地内全面禁煙となる
平成24年 4月 「大分大学禁煙推進宣言」制定・発信
平成25年10月 禁煙推進担当学長特別補佐 配置
平成26年 9月 保健管理センターにて無料で禁煙治療開始
平成28年 5月 「国立大学法人大分大学職員の受動喫煙の防止等に関する規程」制定
       →職員が勤務時間中または法人の敷地内においては,喫煙してはならないことを明記
平成31年 3月 「国立大学法人大分大学における教員選考の基本方針」制定
       →非喫煙者を優先して選考することを定めた

 このような取組の結果,令和2年度の学生の喫煙率は平成25年度比で,旦野原キャンパス7.0%→3.6%,挾間キャンパス3.2%→1.6%と大きく改善されました。加えて,昨年から禁煙を推奨する看板を両キャンパスに設置し,喫煙習慣改善のための意識付けと禁煙治療の周知を行っています。
 また,本年10月16日~17日には,北野正剛学長が大会長を務める「第15回日本禁煙学会学術総会」をJ:COMホルトホール大分で開催します。今後も健康意識の高い学生を育てることが,地域社会に役立つ人材の育成につながるとの思いを込めて,継続して無煙環境の構築に取り組みます。

その他の情報

(事項1)令和3年(2021年)5月からの学長の補佐体制

 令和元年10月1日より,北野学長3期目がスタートし,新執行部,新しい学長の補佐体制を構築したところですが,理事の交代,新学科設置に向けて副学長の新たな配置等,令和3年5月1日付けで新たに人員を配置しました。

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(事項2)第3回おおいた女性人財育成プログラム 2021年度

 本プログラムも今年で3年目となりました。これまでの参加者の声として,「他の組織の女性と共感しながら学ぶ」場の必要性と有効性を認識しています。今回も昨年度と同様に,多様な社会人女性同士による「対話と共鳴」を軸にしたグループワークをオンラインで行います。他者と「自分の経験」を語り合うことにより相互理解し,発見や気付きを得て,自分でまとめた新たな価値観を共有する場となれば嬉しいです。「デザイン思考」の流れを経験でき,異業種の方と交流できる企画です。 全国どこからでもご参加ください。

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