お知らせ令和5年度10月学長記者会見

令和5年度10月学長記者会見

日時
2023-1030
場所
県庁記者会見室
令和5年度10月学長記者会見

▲説明をする北野学長

【事項1】~バングラデシュと初の協定~ 大分大学グローカル感染症研究センターがバングラデシュの大学と国際交流協定を締結

大分大学グローカル感染症研究センターは、共同研究をきっかけとして、バンガバンドゥ・シェイク・ムジブ医科大学医学部との部局間協定を締結しました。 バンガバンドゥ・シェイク・ムジブ医科大学(Bangabandhu Sheikh Mujib Medical University)は、バングラデシュ国内最高峰の医学研究機関であり、1965年12月に設立された大学院医学研究機関(Institute of Postgraduate Medical Research, IPGMR)を継承し、1988年に高等医学教育・研究の施設拡充のため、医科大学として改組され、設置されました。

バンガバンドゥ・シェイク・ムジブ医科大学は、様々な専門分野で質の高い教育を提供しており、高い評価を得ています。また、国内外の専門機関とも連携しており、現在、教育、研究のための近代的な技術を備えた多くの学科を有しています。また、教育だけでなく、医学の様々な分野での研究活動を推進する重要な役割も担っています。
本学ではバングラデシュ国内の研究機関との交流協定締結は初めてであることから、本協定を足掛かりとして、今後バングラデシュとの交流拡大が期待されます。

日本では克服された感染症であっても、世界ではいまだ発生している感染症は多くあります。そういった感染症に関して海外流行地との共同研究が遂行できることは、グローバルヘルスへの貢献につながるとともに、日本への再流入の防止につながることが期待されます。現在デング熱に関する共同研究が中心ですが、ヘリコバクター・ピロリ、肝炎、狂犬病等他の感染症に関する研究の実施や、他のバングラデシュ国内の大学との連携への発展が期待されます。

詳細はこちら(締結式)

【事項2】医学・獣医学連携のワンヘルスな視点により、ウイルス性胃腸炎流行株の起源に迫る(令和5年度AMED採択事業)

令和5年度AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)「新興・再興感染症研究基盤創生事業(海外拠点活用研究領域)」において本学申請課題「フィリピン拠点におけるワンヘルスな視点からのウイルス性胃腸炎のサーベイランス・ネットワークの構築と流行株の解析」が採択されました。(担当教員:大分大学グローカル感染症研究センター 河本聡志教授)

世界中で2021年の時点でも、およそ毎年500万人の5歳未満の子供が死亡していると推計されています。そのほとんどがアジア・アフリカの発展途上国の子供であり、その死亡要因は急性呼吸器感染症(17%)に次いで、下痢症感染症(9%)が多い状況です。下痢症感染症は、わが国の「健康・医療戦略」(平成26年7月閣議決定、平成29年2月一部変更)で定める4大重点課題(インフルエンザ、デング熱、薬剤耐性菌、下痢症感染症)の一つにもなっています。フィリピンにおいてもこうした感染症は公衆衛生学的に大きな問題であり、貧富の差が大きいこともあり、5歳未満の死亡率はわが国で0.2%(2019年)に対してフィリピンでは2.7%(同上)となっています。

ロタウイルス、ノロウイルスをはじめサポウイルスなどを含む下痢症ウイルスによる急性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎)は世界中で発生し、社会活動や経済活動に大きな損害を与えています。2020年に始まったSARS-CoV-2によるCOVID-19パンデミックは、基本的感染症対策を浸透させ、下痢症ウイルスによる疾患を大幅に減少させました。このこと自体は喜ばしいことですが、その一方で、下痢症ウイルスに対してナイーブな個体、特に免疫の未熟な乳幼児が蓄積されるため、予期せぬ大流行がもたらされる可能性を孕んでおり、下痢症ウイルス感染症に対する対策や警戒は引き続き重要な意味を持っています。
本研究課題では、フィリピンで蔓延する下痢症感染症の病因となる下痢症ウイルスについて、東北大学フィリピン拠点を活用し、臨床研究、疫学研究に加えて、疫学的、分子疫学的、およびウイルス学的に新型の下痢症ウイルス流行株の出現・進化を監視するとともに、発生メカニズムまで解明することで、フィリピンのみならずわが国の下痢症感染症対策に資する情報を提供することを目指しています。
事業費は年間約1,950万円の予定で、今後3年間で総額約5,850万円となる予定です。

本研究課題で対象とするロタウイルスは人獣共通感染症であり、動物間やヒト-動物間での種間伝播を繰り返すことで新型ヒトロタウイルスが出現しており、この機構を解明するためには、ヒト由来の株のみならず家畜動物由来株も対象として研究を進める必要があります。

本研究課題の特色は、既存のサーベイランス・ネットワークにワンヘルス(One Health)の視点から新たに家畜動物の検体採取を加えるとともに、分子疫学的およびウイルス学的な解析やデータを付け加えることにあります。これにより、臨床研究、疫学研究に加えて、分子疫学的、およびウイルス学的に新型の下痢症ウイルス流行株の出現・進化を監視するとともに、発生メカニズムまで解明することで、フィリピンのみならずわが国の下痢症感染症対策に資する情報を提供することを目指します。

詳細はこちら

【事項3】~DXとGXの融合~ 大分大学独自の観察技術を活用した研究計画がJSTの「革新的GX技術創出事業(GteX)」に採択

理工学部(応用化学系クラスター)の衣本研究室では、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)に貢献することを目的として、自動車やバス、トラック等に搭載される“固体高分子形燃料電池”の研究を進めています。
この度、JSTの「革新的GX技術創出事業(GteX)」の「水素」領域の革新的要素技術研究に本学が申請した課題が採択されました。


■研究開発課題名:「IL-FE-SEMとAIの連動による材料解析メソッドの開発」
■研究代表者:理工学部 衣本太郎
■GteXでは、日本の将来の産業成長と2050年カーボンニュートラルを達成する上で重要な3つの技術領域である 「蓄電池」、「水素」、「バイオものづくり」に関わる革新的GX技術の創出に向けた研究開発が推進されます。本年5月11日から募集が始まり、この度、新規研究開発課題が決定されました。
■衣本研究室では、電子顕微鏡の一種である「電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)」を用いて、ナノメートル(ナノは10億分の一)単位で同じ領域を観察する極めて難しい観察に世界で初めて成功しました。それを同一箇所電界放出型走査電子顕微鏡(Identical Location FE-SEM、略IL-FE-SEM)技術と名付け、水素の利用に欠かせない固体高分子形燃料電池の電極触媒の劣化について明らかにしてきました。(下記詳細P2参照)
■GteX事業では、Il-FE-SEM技術で取得した劣化していく触媒の様子(画像)を、AIで解析する手法の開発に取り組みます。GXとDXが組み合わさる先導的な研究成果を生み出します。



詳細はこちら
参考サイト:科学技術振興機構(JST)

その他の情報

【事項1】大分大学教育学部附属特別支援学校50周年記念式典

大分大学教育学部附属特別支援学校は,昭和48年に創設され,今年創立50周年を迎え、「創立50周年記念式典」を開催します。

■開催日時:令和5年11月29日(水)9:30~11:00
■開催場所:大分大学教育学部 附属特別支援学校 体育館

内容:
【前半】9:30~10:15
1.はじめのことば(教頭)
2.国家斉唱(全員)
3.学校長のはなし(校長)
4.お祝いの言葉(学長)
5.祝辞(大分県教育委員会教育長)
6.来賓紹介(教頭)
7.40~50年の歩み(スライド)
8.児童生徒会長あいさつ(児童生徒会長)

【後半】10:30~11:00
1.高等部制服 披露
2.記念品 披露
3.歌「ふぞくの子ども」
4.おわりのことば(教頭)

【事項2】本学の竹を原料とするセルロースナノファイバーの研究が、大分県立歴史博物館で紹介されます

理工学部(応用化学系クラスター)の衣本研究室では、竹を原料とするセルロースナノファイバー(竹セルロースナノファイバー)の製造方法を開発し、その機能を活かした用途の研究開発を進めています。
この度、その研究成果が、大分県立歴史博物館(宇佐市)で開催される令和5年度特別展 「竹ものがたり」にて紹介されることになりました。

本学で独自開発された、竹セルロースナノファイバーの製造工程とその工程で製造される竹製品の実物を展示します。
竹セルロースナノファイバーを使った製品例も、本学発ベンチャー企業である株式会社おおいたCELEENA社の協力を得て、特別展示予定です。
1.豊後大野市の竹を原料に長湯温泉水を使って作ったセルロースナノファイバーを使った美容液(binacel serum)
2.大分県内の竹を原料にして製造した竹セルロースナノファイバーフィルム
特に、2 は本邦初公開で、連続フィルム(厚さ35マイクロメートル程度)です。

※竹セルロースナノファイバーとは
植物の主要成分であるセルロースを原料に作られた極細繊維であるセルロースナノファイバーを、竹から作製したもの。


詳細はこちら
参考サイト:大分県教育委員会(企画展・特別展)

【事項3】第4回 大分大学医学部附属病院 市民公開講座 「肥満と糖尿病に向き合う-腎とくる腸イイ話-」

医学部附属病院では「肥満・糖尿病先進治療センター」を開設しました。肥満症や糖尿病の治療では、食事・運動療法に加えて、薬物治療の進歩や外科治療の普及により大きな進展がありその現状につきご紹介します。

詳細はこちら

【事項4】大分大学第10回蒼稜祭 -祭燦再始(さいさんさいし)-

模擬店30店舗以上!新しいイベントてんこ盛り!
スペシャルゲスト:サンシャイン池崎さん

詳細はこちら

【事項5】ホームカミングデー2023 -懐かしい恩恵・友との再会-

4年ぶり待望の開催です。多数のご参加をお待ちしております。

詳細はこちら

【事項6】大分大学開放イベント2023 ~地域社会とともに~

【同時開催】大分大学学園祭 11月3日(金)~ 5日(日)

詳細はこちら

【事項7】大分の教育の未来をみつめるシンポジウムVII(ハイフレックス開催)「STEAM×探究と創造 ~音楽・身体表現と数理のコラボ~」

音楽家・数学研究者・STEAM 教育者として広く世界で活躍中の中島さち子氏と五感協奏VIDAによる演奏、斬新なアイデアと緻密な構成で観客を魅了するパフォーマー・数学講師でもある池田洋介氏のパフォーマンス。音楽と身体表現のコラボレーションと対談を交えて、探究と創造について考えていきます。

詳細はこちら