お知らせ令和5年度12月学長記者会見

令和5年度12月学長記者会見

日時
2023-1222
場所
県庁記者会見室
令和5年度12月学長記者会見

▲説明をする北野学長

【事項1】医学部山岡𠮷生教授がMarshall-Warren賞を受賞
 ~ノーベル賞受賞者名を冠したアジア太平洋地域最大の消化器病関連学会における最高賞~

大分大学副学長・医学部環境・予防医学講座 山岡𠮷生教授がノーベル生理学・医学賞受賞者名を冠したMarshall-Warren賞を受賞、2023年12月7日、アジア太平洋消化器病週間(APDW)で記念講演を行いました。APDWには、世界60か国以上から約3,000名の参加者があり、初日のオープニングレクチャーとして山岡教授が講演を行い、その後の受賞式では、賞状と記念メダルが贈られました。
消化器病疾患に関する世界的な医学雑誌「Journal of Gastroenterology and Hepatology(JGH)」を発行するJGH財団では、消化器病学分野における著名な研究者をアジア太平洋消化器病週間に招聘して、会期中に記念講演を行う制度を開始、初回となる2008年にはピロリ菌の発見でノーベル賞を受賞したBarry Marshall教授を招聘しました。
それ以降は、この名誉ある講演は、ピロリ菌発見で消化器病学に多大な貢献を果たした2名のノーベル生理学・医学賞受賞者の名を取って、「Marshall-Warren記念講演」と呼ばれるようになり、毎年1名が選考されるようになりました。
本年度は「ピロリ菌の除菌治療に関して革命的な提案」を行った研究者として山岡教授が受賞されました。Marshall教授から数えて今年で15人目の受賞となります。
山岡教授は、ピロリ菌関連の英文医学雑誌掲載数が過去5年間で世界一位を記録しています。最近の主な活動としては、ピロリ菌の除菌方針に関する総説を世界的医学雑誌Nature総説誌などに発表、ブータン王国においてはブータン政府に助言を行い、全国民に対するピロリ菌検査および除菌治療を指導し、さらにピロリ菌に対するワクチン開発も手掛けています。
なお、本講演の内容は、JGH誌に掲載することになっており、今後ますますピロリ菌感染関連死撲滅に向けた研究を進めていく事になります。

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【事項2】リストバンド型生体センサを用いた脳内アミロイドベータ蓄積予測モデルの開発
~普段の生活で得られたデータだけでアルツハイマー病のスクリーニングが可能であることを立証(論文掲載)~

大分大学、エーザイ株式会社は、世界で初めてリストバンド型生体センサを用いて脳内のアミロイドベータ(以下 アミロイドβ)蓄積を予測する機械学習モデルを開発しました。これにより、病院での診察や認知機能検査を受けることなく、普段の生活で得られたデータだけでアルツハイマー病の重要な病理である脳内アミロイドβの蓄積に関するスクリーニングが可能になると期待されます。
なお、この内容は2023年12月12日に『Alzheimer's Research & Therapy』オンライン版で公開されました。
本研究では、大分大学神経内科学講座が2015年8月から2019年9月まで大分県臼杵市で実施した認知症ではない地域在住の65歳以上の高齢者を対象とした前向きコホート研究のデータを利用しました。軽度認知障害または主観的な記憶障害のある122 人(男性54人、女性68人、年齢中央値75.50歳)がリストバンド型生体センサを3ヶ月ごとに約7日間装着し、問診による生活データの収集、アミロイドPET検査(年1回)を3年間施行しました。リストバンド型生体センサによる身体活動、睡眠、脈拍などの『生体データ』と問診による家族との同居、就労、外出頻度、移動手段、地域活動への参加などの『生活データ』に年齢、教育歴、飲酒歴、既往歴(高血圧、脳卒中、糖尿病、心疾患、甲状腺疾患)などの『当事者背景』を組み合わせて脳内のアミロイドPET検査陽性者を予測する機械学習モデルを構築し、その性能を評価しました。
『生体データ』、『生活データ』、『当事者背景』による予測モデルの評価指標であるArea Under the Curve (AUC)は0.79であり、スクリーニングに適した性能と考えました。
今回開発した機械学習モデルは、病院を受診する必要がなく、簡便に利用できる非侵襲的な変数を使用して脳内のアミロイドβ蓄積を予測することができます。このため、地域在住者のアミロイドPETやCSF検査の事前スクリーニングとして広く利用することがき、患者の費用および身体的負担を軽減するとともに、臨床試験の費用を軽減することが期待されます。

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【事項3】大分大学の特許のJIS化
  ~産学官で開発したモータ鉄損可視化装置を活用した測定方法が日本産業規格(JIS)として制定~

大分大学が所有する特許「鉄損分布測定装置」特許第5048139号を基にした赤外線カメラを用いた鉄損分布測定技術が、日本産業規格JIS C 2541「赤外線カメラによる鉄心表面の損失分布の熱的測定方法」として認められ、12月20日に日本規格協会名で経済産業省から公表されました。
JST地域結集事業の中で開発した技術で、大分大学の知財を使って株式会社ブライテックと大分県産業科学技術センターとのプロジェクト研究を経て、2020年に株式会社ブライテックが事業化し、県内で初めて2021年から経済産業省の新市場創造型標準化制度を利用して、JIS化が実現しました。
赤外線カメラによりモータ鉄心等に発生した損失を分布で評価できる点が特色です。非常に僅かな温度上昇(時間的)を計測することで、赤外線カメラのピクセル分解能で損失を計測できます。EV用のモータの特性改善や開発などに有効に利用できる技術です。
特許では、繰返し測定の標準誤差を用いて測定精度を検証しながら損失分布を得るのが特徴です。

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その他の情報

【事項1】本学医学部大学院修了生が、JGH若手研究者賞(1等賞)を 受賞

大分大学医学部環境・予防医学講座 山岡𠮷生教授の下で、国費留学大学院生として研究を行い、本年9月に大学院を修了したRicky Indra Alfaray氏が、アジア太平洋消化器病週間(APDW)財団および消化器病疾患に関する世界的な医学雑誌Journal of Gastroenterology and Hepatology(JGH)を発行するJGH財団が主催する若手研究者に送られるYoung Investigator Award(YIA)の1等賞を受賞しました。
本賞は、アジア太平洋諸国に国籍を有する者で、かつ消化器病関連の研修修了後5年以内の若手研究者に応募資格があり、APDW財団/JGH財団に抄録を提出します。まずは演題選考委員会で最終選考者6名が決められます。彼らは、APDWで発表の機会が与えられ、抄録の質と科学的メリット(50%)、発表の質と質疑応答に対する能力(50%)として選考委員が採点を行い、1~3位が表彰されます。
総応募数は非公開のため分かりませんが、環境・予防医学講座からは当時大学院4年生であった2名が演題を応募、2演題とも最終選考の6名に残るという偉業を達成しました。
そのうち、Alfaray氏が1等賞を獲得しました。彼は細菌に感染するウイルス(ファージ)に関して、世界各国のピロリ菌を網羅的に解析して、新しいファージの機能などについての知見を発表しました。彼は現在、母国のインドネシアで臨床・研究を続けており、現在も共同研究を行っています。 また惜しくも3位までには入りませんでしたが、モンゴル出身のBatsaikhan Saruuljavkhlan氏は現在、環境・予防医学講座の特任助教として本学で研究を続けています。

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【事項2】減災シンポジウム in 豊後高田市 ~持続可能な減災社会の実現に向けて~

地球温暖化に伴う気候変動の影響により、近年、日本各地で自然災害が多発しており、その被害も激甚化するとともに多様化・複合化の様相を呈しています。地域の住民、次世代を担う若者世代は、このような多様化・複合化した自然災害の発生を念頭に、防災や減災に関する課題と対峙しながら、これからの災害多発時代を乗り越えていかなければなりません。
大分大学減災・復興デザイン教育研究センター(以下CERD)では、地域社会における安全・安心なまちづくりを支援するため、豊後高田市をはじめ大分県や気象庁大分地方気象台、国土地理院九州地方測量部、そして一般社団法人国立大学協会との共催により「減災シンポジウムin 豊後高田市 -持続可能な減災社会の実現に向けて-」を開催します。なお、この減災シンポジウムは、大分大学による地域貢献活動の一環として県内市町村を対象に毎年実施しているものです。
減災シンポジウムは「持続可能な減災社会の実現に向けて」をテーマに、豊後高田市の災害を学び、防災意識の醸成とともに避難行動につなげ、豊後高田市の減災社会をつくることを目的としており、CERDと豊後高田市に加え大分県など関係機関を中心に、1年を通じて実施した減災に関する様々な取り組みを総括する形で行われます。
具体的には、豊後高田市真玉地区で行われた南海トラフ地震を想定した実践型の避難所運営訓練の事例紹介、豊後高田市で想定される災害リスクや発生した過去の災害を学ぶフィールドツアーを踏まえ、高田高校の生徒と大分大学の学生が、未来に向けた豊後高田市の減災社会への提言を行います。また、「住みよいまち豊後高田の防災・減災」をテーマに、子育て世代の方や高校生、そしてNHK大分放送局の戸部アナウンサー(防災士・子育て世代)を迎え、佐々木豊後高田市長や九州大学三谷教授らとともに、CERD鶴成センター長のコーディネートによりパネルディスカッションを行います。パネルディスカッションでは、クリッカーと呼ばれるアンケート回答ボタンを入場者に渡し、会場に掲げられた質問への回答を即座に集計し結果を共有することで、会場全ての参加者とともに議論を深めていきます。
司会進行は高田高校放送部が務めるなど、豊後高田市民と関係機関が一体となった地域色豊かな減災シンポジウムを開催します。

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【事項3】医学部消化器内科学講座にてベトナム医師9名への研修を実施

令和3年度から経済産業省の「技術協力活用型・新興国市場開拓事業(制度・事業環境整備事業)」の一環として、「ベトナム消化器疾病に対する内視鏡医療水準向上支援(VJEP)」が実施されています。ベトナムでは消化器がんが増加してきているものの、早期発見と治療に有用な内視鏡医療の普及が進んでいません。
このような状況を踏まえ、日本の診療ガイドラインの現地への移植・制定による内視鏡医療の標準化と水準向上、内視鏡専門医の質・量の増大や専門教育の強化、最新の医療機器の普及を通じて、日本の医療産業のビジネス拡大に大きく寄与するため、一般財団法人海外産業人材育成協会(AOTS)が経済産業省より委託を受け、一般社団法人アジア医療教育研修支援機構(AMETS)(理事長:大分大学北野正剛学長)とオリンパス株式会社の協力により、大分大学消化器内科学講座を中心に本事業を実施しています。
本事業は令和3年度から継続して実施しており、今年度で3回目の実施です。この度、事業の一環として、カントー市総合病院、タイグエン国際病院等、ベトナム各地の病院から訪れた9名の医師に対し、本学にて研修を実施しました。
12月20日は、自己紹介の後、院内の見学と臨床現場におけるガイドライン活用についてレクチャーを受け、12月21日に内視鏡室での症例見学を行い、12月22日には、模擬カンファレンスと各研修生による発表が行われます。

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【事項4】第5回大分大学医学部附属病院 市民公開講座「アトピー治療新時代の到来」

アトピー性皮膚炎の病態研究や治療方法が飛躍的に進歩しています。その進歩を踏まえて、基本的な治療の考え方と方法について紹介します。

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【事項5】大分大学STEAMLab.(スティームラボ)「クリエイティブ講座vol.4」

小学生から大人まで参加できる、ものづくりの講座を開催します!5つの講座から、好きなものを選べます。

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【事項6】挾間キャンパス正面進入路の変更 ~12/22(金)午前6時より変更~

令和5年12月22日(金)午前6時に進入路を変更しました。
4車線化による道路拡張により病院へのアクセスがスムーズになります。

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