お知らせ令和7年度10月学長記者会見

令和7年度10月学長記者会見

日時
2025-1027
場所
県庁記者会見室
令和7年度10月学長記者会見

▲事項5を発表した理工学部2年の首藤さんと北野学長

【事項1】科学技術振興機構(JST)大学発スタートアップ・エコシステム共創プログラムStep2を獲得
 ~AIによる手術記録自動作成システム「Smart OpeRec(スマートオペレコ)」の社会実装へ~

科学技術振興機構(JST)による「大学・エコシステム推進型スタートアップ・エコシステム形成支援」により設立されたPARKS (パークス:Platform for All Regions of Kyushu & Okinawa for Startup-ecosystem) は、2025年度スタートアップ・エコシステム共創プログラムを公募し、本学医学部が申請した「Smart OpeRec外科手術の質と効率を両立させる手術自動記録システム」が、Step2-1(研究開発費2,000万円)に採択されました。
本学では、AIを活用して手術映像を解析・言語化し、自動で手術記録を作成する革新的なシステム「Smart OpeRec」を開発しています。
2024年に獲得したStep1ではプロトタイプの作成を主な目的としましたが、Step2-1では研究資金と期間の拡大により製品化・事業化フェーズに進みます。具体的には、国内外の医療機器メーカーとの連携による製品化、ならびに海外市場展開を見据えた事業化フェーズへ移行します。
現在、外科医療現場では手術の複雑化と外科医不足が深刻化しており、手術後に記憶を頼りに作成される手術記録は、外科医にとって大きな負担となっています。こうした背景から、医師の業務効率化と医療安全性の向上を両立する「Smart OpeRec」の社会的ニーズは非常に高く、本システムの導入は医療訴訟リスクの低減や労働コスト削減にも寄与すると期待されています。
本技術は、日本国内で約9,000台が稼働する内視鏡外科手術システムに対するソフトウェア・アドオンを基本戦略としており、国内市場だけでも100億円規模の事業へ発展する可能性を秘めています。令和7年10月1日から研究期間が開始され、製品開発および事業化を推進していきます。

※PARKS(パークス:Platform for All Regions of Kyushu & Okinawa for Startup-ecosystem):
オール九州スタートアップエコシステムプラットフォーム。主幹機関の九州大学、九州工業大学を含めた九州・沖縄の20 の大学と、ベンチャーキャピタルである株式会社FFG ベンチャービジネスパートナーズ及び九大OIP 株式会社で設立されたプラットフォーム。

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【事項2】より有効または、より低侵襲ながん標準治療確立を目指して
~令和7年度AMED革新的がん医療実用化研究事業に採択。
 大分大学を研究代表者とするがん専門病院52施設で行う大腸がん治療成績向上を目指した多施設共同臨床研究を開始~

日本医療研究開発機構(AMED)が行う「革新的がん医療実用化研究事業」(Field 4-1-1)において、本学医学部 消化器・小児外科学講座が申請した研究が採択されました。
この研究は、進行した横行結腸がん(大腸の中央部分のがん)に対して、「体への負担が少ない手術方法」が本当に安全で有効かを全国で調べる臨床試験です。
これまで標準的に行われてきた手術(結腸右半分を広く切除する方法)では、がんの再発を防ぐ点では有用ですが、手術の範囲が広くなるため、術後に排便の回数が増えるなど生活の質(QOL)に影響が出ることが課題でした。今回の新しい方法(横行結腸部分切除術)は、切除範囲を必要最小限にし、腸の一部を残すことで、がんの根治性を保ちながら、できるだけ普段の生活を保てるようにすることを目指しています。
当研究(JCOG2304)は、全国の52施設の病院が協力して約510人の患者さんを対象に行う計画で、手術後の再発率だけでなく、排便の状態や生活の質なども詳しく調べます。もしこの新しい方法が従来の手術と同じくらい安全で、生活の質がより良いと分かれば、将来的に日本の新しい標準的な手術方法として広く使われることが期待されています。高齢化が進むわが国において、術後生活の質向上と医療資源の効率化に資する重要なエビデンスを提供することが期待されます。

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【事項3】量子コンピュータ「黎明」とスーパーコンピュータ「富岳」を用いた新たな創薬基盤を開発
 ~NEDO JHPC-quantum テストユーザプログラムに採択~

NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)から受託を受け理化学研究所とソフトバンク株式会社が推進している量子・スパコン連携プラットフォーム研究開発プロジェクトではテストユーザプログラムの募集があり、本学医学部ヘルスケアAI・データサイエンス学講座とQuantinuum(クオンティニュアム、本社:米国コロラド)社の共同提案が採択されました。
本提案では、創薬や材料開発で最も応用が期待されている分野のひとつである量子化学計算において、世界的な量子コンピューティング企業である Quantinuum社と本学が共同研究を行う予定で、この採択により、理化学研究所が使用権を有するQuantinuum社の最新鋭量子コンピュータ「黎明」(以下、「黎明」)と理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」(以下、「富岳」)へのアクセス権が付与され、これらを連携させた研究を行うことができます。
量子コンピュータは、従来のコンピュータと比べて複数の計算ステップを同時に行うことができるため次世代コンピュータとして世界的に注目を集めています。性能は発展途上ではありますが、今後社会に広げていくためには応用実績を着実に積み重ねて行く必要があります。
本研究では、β-カテニン というタンパク質に注目して、量子化学計算を核とした新たな創薬基盤を開発することを目的とします。β-カテニンは、幹細胞の再生、分化や癌細胞の増殖等に深く関与することが知られています。このたんぱく質の機能をコントロールすることができれば、様々な疾患の治療につながることが期待されています。ところが、β-カテニンは薬剤の標的になりにくい構造をしているため、特効薬の開発は困難を極めています。
本プロジェクトによって従来、分析が困難であったβ-カテニンと薬剤候補との相互作用を分子のレベルで高精度に調べる方法を開発します。

※β-カテニン:
細胞同士を繋ぐ「接着分子」として機能する一方で、細胞内の「核」に移動して遺伝子の働きを促し、細胞の増殖や分化を制御する重要な役割も担っています。


β-カテニンは781個のアミノ酸残基からなる巨大な集合体のため、薬剤候補との相互作用を分子レベルで調べるためには、全てのアミノ酸断片をバラバラに計算して集積する、フラグメント分子軌道法 という特殊な量子化学計算手法を用いる必要があります。
本研究では、相互作用の中でも核心となる限られた部分は超高精度で分析する必要があるため「黎明」を使用します。残りの大部分は「富岳」で計算し、「黎明」で得られた高精度情報と融合させることにより、巨大タンパク質と薬剤候補との相互作用の全貌に迫ります。すなわち、「黎明」と「富岳」との量子‐古典ハイブリッドシステムを構築することにより、各々単体では実行困難なタスクを実現可能にすることが目的です。
本研究で確立する方法論は、原則として他のタンパク質分子間相互作用にも拡張できることから、新規の創薬基盤のフレームワークとして応用されることが期待されます。 本研究は、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)、JHPC-quantum プロジェクト(理研・ソフトバンク主幹)によるテストユーザプログラムに採択されました。

※フラグメント分子軌道法:
生体高分子のような非常に大きな分子を小さな部分(フラグメント)に分割し、それぞれのフラグメントとフラグメントペアの電子状態を計算し、それらを組み合わせることで、分子全体の電子状態を高速かつ高精度に計算する手法です。


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【事項4】大分大学DX人材育成プログラム開設記念講演会を開催
 ~大学の公共性を活かした知的共創で拓くAI・DXの推進~

本学では、様々な地域課題をAI・DX技術で変えていくための研究拠点として、令和6年度に「DX人材育成プログラム」を新設しました。
今回、このDX人材育成プログラムの理念と概要を広く紹介するために、産-学—官のキーパーソンによる講演会と、パネル展示形式による大学研究紹介を行います。これは初めての開催となります。
「産」からは(株)オーイーシーの野﨑浩司氏と(株)新潟人工知能研究所の佐藤修一氏、「官」からは大分県商工観光労働部の小田切部長、「学」からは事業創造大学の黒田学長をお招きし、大学の公共性を活かした知的共創という観点で、今後のAI・DXの推進に向けたご講演と議論を行います。
パネル展示では、大分大学の新設「DX人材育成プログラム」と、既設「知能情報システムプログラム」の主要研究室の研究概要を広くご紹介し、企業との対話交流を図る予定です。

DX人材育成プログラムを構成する理工学部「DX人材育成基盤プログラム」と、それに連携する大学院理工学研究科博士前期課程「情報・数理・データサイエンスプログラム(高度実践系)」には、現在、学部77名と大学院生9名が在席中です。令和8年度末には、まず大学院生の彼らを大分大学のDX人材(1期生)として社会へ送り出すべく、先進の社会実装教育と先端研究を展開していきます。
本講演会は、「大分大学産学交流振興会」と共催し、多数の企業にご来場いただく予定です。企業と大学研究者・学生との対話を通じて、産学のより深いDX連携を考える絶好の機会と捉えています。
本学は、地域企業に頼られる研究拠点を目指して、今後も同様の企画を開催していきます。

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【事項5】第24回大分大学ベンチャー・ビジネスプランコンテスト 最優秀賞が決定!

本学のベンチャー・ビジネスプランコンテストは、学部生と大学院生を対象に、研究マネジメント機構産学官連携推進センターが実施しています。
学生が自ら事業計画を考える能力、プレゼンテーション能力、イノベーションを生み出す力、そして起業家精神を養うことで、将来のキャリアを考えるきっかけを提供することを目的としています。
今回、最終審査会を実施し、最優秀賞が決定しました。

対象となるビジネスプランは、社会課題の解決や日常生活の改善を目指す事業、九州の特徴を活かした食や農業、観光などの事業、そして大学の研究成果を基にした事業です。

第1次審査と第2次審査は書類審査が行われ第1次審査は7月4日(金)に締め切られ、27チーム44名から応募がありました。書類審査の結果、7チーム14名が最終審査に進出しました。
9月24日(水)、教養教育棟第2大講義室において、最終審査会(プレゼンテーション審査)が実施されました。審査員は、大分県内の起業家や経営者、金融機関などから招かれた5名の実務者で構成され、厳正な審査が行われました。
最終審査会には、合計64名が参加しました。
審査の結果、最優秀賞には、理工学部理工学科知能情報システムプログラム2年の首藤羽那さんによる「Mottoco Lab.(もっとこラボ) -防災を職業に-」が選ばれました。
このビジネスプランは、大分大学の新入生に防災士資格と地域での実践機会を提供し、モデル避難所での研修や企業・自治体との連携を通じて"働ける防災士"を育成する教育型のビジネスです。その他、各種受賞や一昨年から新設された企業賞は、共催である大分大学産学交流振興会の会員企業10社からそれぞれ授与されました。
プレゼンテーション終了後の質疑応答や審査会終了後に行った懇親会での意見交換を通じて、学生たちは今後、ビジネスプランのブラッシュアップに取り組んでいきます。

詳細はこちら(受賞者一覧)
詳細はこちら(最優秀賞「Mottoco Lab. -防災を職業に-」)

その他の情報

【事項1】大分大学75年史の発行

大分大学は、2024年5月に創立75周年を迎えました。この節目に、50年史(平成15年3月作成)以降の大学の歴史を振り返るものとして、75年史を作成しました。

本75年史は、1949(昭和24)年5月31日に発足した大分大学の創立75年の歩みを通史編・部局史編・資料編の3部構成でまとめました。記述は、50年史までの歴史については簡潔にまとめ、50年史以降の1999(平成11)年5月から75周年に当たる2024(令和6)年5月までを中心に記載しています。
医学部については、大分医科大学からの歴史についても記載しています。

佐藤大分県知事や足立大分市長、広瀬前知事、ANAホールディングス(株)特別顧問の平子氏などから、ご寄稿をいただき、各学部の退職教員や卒業生にも回顧談を寄稿していただきました。

大分大学のこれまでの教育・研究及び医療の歩みを通して果たしてきた社会的役割、そして、大分大学がこれからどのようなビジョンをもって進んでいくかを伝えることができれば幸いです。

【事項2】令和7年度 第4回 大分大学医学部附属病院 市民公開講座
  ~“自分らしく生きる”を支える緩和ケア~

国のがん対策推進基本計画に「がんと診断された時からの緩和ケア」が謳われてからもうすぐ20年が経ちます。皆さんは「緩和ケア」という言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか。2人に1人はがんに罹患すると言われている現代において、早期から苦痛を和らげ、自分らしく生きることを支援する緩和ケアについてご紹介します。

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【事項3】大分大学学園祭が11月1日(土)から開催!

第23回「医学部祭」(挾間キャンパス)を開催! 「WA!」

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第12回「蒼稜祭」(旦野原キャンパス)を開催! 「これ、青春です。」

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【事項4】大分大学ホームカミングデー2025

多数の方のご参加をお待ちしております!!
学園祭も同時開催!

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【事項5】大分大学学開放イベント2025

大学って、どんなことしてるの?
見て、触れて、学べる「ブンダイ」にお越しください。
学園祭も同時開催!

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【事項6】高校生なるほどアイデアコンテスト2025

イノベーティブな新製品やサービス、地域づくりに関するアイデアを募集!

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【事項7】大分大学STEAM秋の特別講座

文化の秋、大分大学でアート、ものづくり、科学、多様性理解について、体験を通して学びましょう。

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【事項8】2日間でDIY工作入門・金属同士の接合を体験

2日間でDIY工作入門
令和7年11月22日(土)~23日(日)10:00~17:00

金属同士の接合を体験
令和7年11月22日(土)10:00~17:00

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【事項9】第3回大分大学福祉セミナー公開講座 大分県における孤独・孤立対策の推進


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