お知らせ令和5年度8月学長記者会見

令和5年度8月学長記者会見

日時
2023-0804
場所
県庁記者会見室
令和5年度8月学長記者会見

▲説明をする北野学長

【事項1】DX人材育成に向け、加速!
「令和5年度大学・高専機能強化支援事業(高度情報専門人材の確保に向けた機能強化に係る支援)」に採択

本学は、文部科学省が実施する「令和5年度大学・高専機能強化支援事業(高度情報専門人材の確保に向けた機能強化に係る支援)」に採択されました。
本事業は、現在、わが国で不足しているデジタル・グリーン等の成長分野をけん引する高度専門人材の育成のため、国が基金を創設し、支援を行うものです。
支援期間は令和5年度から10年間です。

高度情報専門人材(DX人材)の育成のため、理工学部及び大学院工学研究科(修士課程)に「DX人材育成プログラム」を新設します。理工学部では令和6年度から学生(入学定員40名)を受入れ、大学院は令和7年度から院生(入学定員10名→令和10年度に30名に変更)を受入れます。
また、令和7年度に工学研究科を理工学研究科に改組する計画も絡めています。

▶VUCA時代の社会を維持・発展させるためのDX人材
「DX人材育成プログラム」において、デジタル社会におけるリーダーとして、潜在的課題の発見・解決、非常事態におけるデジタルインフラの速やかな回復・復興、さらには新しい付加価値の創造を主導できるDX人材を養成します。

▶安定的な情報専門人材確保のための「生涯教育ループ」の確立
高校生や社会人のニーズと既存スキルに応じたビュッフェ型マイクロクレデンシャル(短期間で特定の領域を学び、その学修歴を証明する仕組み)を設定・提供します。さらに、小中高生向けにSTEAM教育科目を提案・実践することにより、地域内におけるDX人材確保の裾野を広げます。

▶イノベーションコモンズ(共創拠点)コアの整備
情報技術のプロフェッショナル養成のため、実践的な演習科目(データ分析シミュレーション、IoT実験、サイバー空間演習等)を随時実施可能なデジタルワークスペースを整備します。

現在、本事業に伴う大学の収容定員増について文部科学省に申請手続を行っているところであり、審査結果は、8月末ごろに判明する予定です。本プログラムに関する入試情報等は今後学生募集要項やwebページで公表します。

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【事項2】地域共生社会の実現 ~地域づくりに向けた支援及び参加支援事業~
「健康に歩こう!ノルディック・ウォーク! -生活圏域、行政圏域、専門領域を超えて-」

【目的】運動を媒介として、地域住民の健康寿命を延伸するとともに、生活圏域、行政圏域、専門領域を超えて、人と人とがつながり、相互に支え合い、そして、誰も排除しない地域共生社会づくりを目指す。



【内容】本事業の内容は大きく分けて3つです。
(1) ポピュレーション戦略
安全かつ簡便に実施できるノルディック・ウォーク及び筋力向上トレーニングを集団で行い、地域住民の健康寿命を延伸すること。
(2) 社会関係資本の醸成
運動を媒介として社会的なつながりを醸成し、孤独・孤立を生まない社会を創出すること。
(3) 文化資本の継承
社会的なつながりを通して、何世代にも渡って地域で育まれてきた生活習慣や行事、食生活など世代間で文化を守り、継承していくことです。

※ノルディック・ウォークとは
ノルディック・ウォークは、北欧フィンランドが発祥で、2本のポール(杖)を使って歩くウォーキング方法です。当初はクロスカントリー選手の夏季トレーニングとして活用されていましたが、その手軽さと全身運動効果の高いエクササイズとして、広く市民に受け入れられるようになりました。なお、本ノルディック・ウォーク教室では、全日本ノルディック・ウォーク連盟が提唱するウォーキング方法を採用しています。


現代社会は、地域の課題を住民自身の力によって解決する福祉社会の創出が求められています。こうした福祉社会の観点から考えると住民参加型の健康地域づくりが希求されているといえるでしょう。本研究は、住民参加型の健康地域づくりに、ノルディック・ウォークを定め、集団で要介護となる危険因子を下げること(以下:ポピュレーション戦略)ができれば、個々人だけでなく、地域全体の健康に資することができると考えます。同時に、ポピュレーション戦略による健康寿命の延伸は、医療・介護にかかる財政支出の抑制に大きな効用をもたらすと考えられます。
さらに、ポピュレーション戦略の効用としては、個々人の健康増進の他に、社会関係資本の醸成も期待できると推察されます。とくに社会関係資本の強い地域は、主観的健康観が高い傾向にあることから、住民の間で支え、支えられるといった福祉的効用も高くなると考えられます。
以上のとおり、本研究は、ポピュレーション戦略に焦点を当て、さらに、運動を媒介に社会関係資本の醸成を図るところに特色があります。また、何世代にも渡って地域で育まれてきた生活習慣や行事、習わし、食生活など、文化資本を多世代間で守り、継承していくといった波及的な実践に視野を置いている点が特徴です。

【実施方法】
■福祉健康科学部(三好禎之ゼミ)・経済学部(石井まことゼミ)、理工学部(柴田建ゼミ)の3学部から構成される合同ゼミナールにて以下の取組を実施
・ノルディック・ウォーク教室、体力測定会
・地域住民、学生協働による地域づくりワークショップの企画運営
・ノルディック・ウォーク竹ポールの作成

【実施場所】
■大分県大分市、佐伯市、臼杵市、別府市、由布市、豊後高田市
■福島県川内村、楢葉町、宮城県石巻市
■愛知県尾張旭市

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【事項3】「アトピー性皮膚炎の寛解や症状悪化の予測において、角層セラミドの性状が指標となる可能性があることを発見」 大分大学医学部皮膚科学講座と花王株式会社スキンケア研究所の共同研究グループによる成果

大分大学医学部皮膚科学講座(講座長・波多野豊教授)と、花王株式会社(社長・長谷部佳宏)スキンケア研究所の共同研究グループは、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis: 以下AD)患者の皮膚、角層内に存在するセラミドの性状が、ADの寛解や症状の悪化を予測するための指標になる可能性があることを発見しました。

研究内容概略
【背景】ADとは、くりかえす湿疹とかゆみを特徴とする、患者数が非常に多い疾患です。ADの治療はステロイド外用剤を中心とした外用療法が主体で、適切な外用療法によって、多くのケースで症状改善が期待されます。しかしながら、十分に皮膚炎が治まった(寛解状態になった)としても、その後、ステロイド外用剤の外用回数を減らす、外用剤の強さを弱めるなど、治療の手を緩める事によって、ADが再燃することがしばしば起こります。一方で、寛解が維持されるケースもあります。このAD寛解後の治療減弱に伴う皮疹再燃は、従来の検査等では予測が困難でした(詳細図1)。

【方法】そこで大分大学皮膚科-花王の研究グループは、臨床研究によってその課題に取り組みました。まず、AD患者をステロイド外用剤でしっかりと治療し、皮疹が十分に改善した段階(寛解状態、0週目)で、皮膚の最外層である角層と血液を採取しました。そして角層内に存在する様々なセラミドの量や性状(詳細図2)を調査し、さらに血液サンプルからADと関連の深いフィラグリン遺伝子変異の有無や既知のAD血清バイオマーカーを調べました。サンプル採取後、外用療法のステップダウン(具体的には、保湿剤[花王製]の使用開始とともに、ステロイド外用剤の外用回数を減らす、あるいは、ステロイド外用剤の強さを下げる)を行い、同治療を8週間継続しました。8週後、AD患者さんの臨床症状から、寛解維持群、AD再燃群に振り分け、0週目に解析した角層セラミドやフィラグリン遺伝子変異の頻度等の差異を検証しました(詳細図3)

【結果】フィラグリン遺伝子変異の頻度および既知のAD血清バイオマーカーにおいては、寛解維持群と再燃群の間に有意な差を認めませんでした。一方で、再燃群における特定セラミド種の炭素鎖長が、寛解維持群に比べて、有意に短い事がわかりました(詳細図4)。即ち、ADが十分に改善していたとしても、角層内の特定セラミド種の炭素鎖長が短い場合、治療減弱によってADが再燃するリスクが高いと言えます。
【結論】本研究の結果は、角層セラミドの性状がアトピー性皮膚炎の寛解や症状悪化を予測するための指標となる可能性があることを示しており、将来の臨床応用が期待されます。

今回の研究成果は、国際誌: Journal of Investigative Dermatologyに掲載され、International Societies for Investigative Dermatology: ISID 2023 meeting(国際研究皮膚科学会、2023年5月10~13日、東京都)にて、大分大学医学部皮膚科学講座の酒井貴史助教が研究グループを代表し、発表しました。

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その他の情報

【事項1】~学生主体の企画で地域、社会に貢献を!~ 「大分大学活き²プロジェクト2023」活動開始

大分大学活き²プロジェクトは、学生が自ら企画・運営するプログラムについて、その活動資金を大学がサポートするもので、学生の企画・運営能力の向上と、学生たちの活動が大学や地域社会の活性化につながることを目的としています。
今年度は、審査の結果、下記10件(地域交流 一般部門2件、地域交流 地域ニーズ探索部門2件、社会貢献部門2件、分大活性4件)の企画が採択され、活動を開始しました。

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【事項2】 大分大学福祉セミナー「これからのこども施策と人材養成」

(講師:参議院議員 自見はなこ氏)

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【事項3】令和5年度女子中高生の理系進路選択支援プログラム「夏の体験実験2023」

中学生、高校生の生徒さんを募集します!(特に女子生徒さんの参加をお待ちしています)保護者の同伴も可能ですので、ぜひ親子で参加して下さい。

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【事項4】高校生なるほどアイデアコンテスト2023

イノベーティブな新商品やサービス,あるいは地域づくりに関するアイデアを募集します!

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【事項5】大分大学大学院経済学研究科 ビジネスパーソンのための経営サマースクール

気軽な雰囲気の学び直し講座を目指しています。マネジメントに関心をもつ皆様の参加を歓迎します。

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【事項6】令和5年度 第2回 大分大学医学部附属病院 市民公開講座「歩いて、動いて、幸せな人生を!」

「人生100年時代」に向けて、ロコモティブシンドロームは、加齢に伴う筋力低下や関節の機能低下により、身体の動作能力が低下する状態です。この講座では、ロコモティブシンドロームを促進する変形性関節症や骨粗鬆症にについて解説します。

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